試験とイソギンチャク ページ33
あれから数日後、定期テストを全教科終わらせたエペルとジャックはぐうっと伸びをした。
それから机に突っ伏し、あれを間違えたかもしれないと問題点を思い出して反省をしているようである。
｢Aと、後クルーウェル先生のおかげで点は良さそうだけどな｣
｢だよね。あの勉強会は先生が二人いるみたいだった｣
最初は行っていいものなのか悩んでいた二人だが、Aと一緒に勉強したいし教えてもらいたいと思い、毎日意を決してクルーウェルの部屋を訪れては勉強会を行ったのだ。
その結果、植物の名前を覚えるのが苦手なエペルは何とか暗記し、魔法史が不得手なジャックも理解を深めることが出来たのである。
因みに昨日、合鍵を返そうとしたところ、クルーウェルに華奢なデザインのキーチェーンと共に突き返された為、Aの腰元では一つの鍵が揺れていた。
｢よし！ 今からお菓子作りだな｣
｢ばっちゃから林檎送ってもらったから、準備は万端だよ｣
｢ではポムフィオーレ寮の厨房へと参りましょうか｣
部屋を使わせてもらったことと、更には魔法薬学や錬金術のテスト問題の出題傾向や悩んでいた問題に助言をくれたクルーウェルに御礼として、三人は林檎のスイーツを作ることにしたのだ。
エペルの実家から林檎を送ってもらい、パティシエールは料理上手なA、力作業をジャックが手伝うことなっている。
｢何を作るんだ？｣
｢ガトーインビジブルとアップルパイ、アールグレイと林檎のムースケーキの三つです。もし時間が余れば、りんごパンを作ろうと思っていますよ｣
｢沢山だね、頑張ろう！｣
｢だな！｣
くつくつ、ことこと、しゃくしゃく、ふわふわ。
林檎を切って、砂糖で煮詰めてコンポートにしたりクリームチーズと混ぜ合わせたり。
お菓子作りを始めて十分後には厨房内は甘い香りが充満し、エペルとジャックは深呼吸してその香りを楽しんでいる。
ガトーインビジブルの層が次々と重ねられていき、これできっとカットした時には美しい断面が見られることだろう。
協力し合ったことで時間に余裕ができた為、まん丸で可愛らしいりんごパンを作ることも出来た。
態々スティックタイプのクッキーを刺して焼くことで、見た目の林檎さはかなりの再現度である。
｢おぉ……！ 美味そうだな｣
｢流石に丸ごと渡せませんし、味見しましょうか｣
｢やったぁ！｣
ぱくり、と一口。
たった一口だけで、ジャックとエペルは幸せそうな微笑みを浮かべて頬を蕩けさせた。
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みっきーうっきー - とても、面白い作品ですね。更新停止とかやめてくださいね！応援しているので、頑張って下さい！諦めないで下さい！ \`∀´/ (2020年4月14日 22時) (
レス) id: fbdfd6ec63 (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - 本編への組み込み方はもちろんのこと、描写のひとつひとつが美しくて読んでいてとっても楽しいです…！素敵な主人公ちゃんと出会わせてくれてありがとうございます。これからも楽しみにしています！ (2020年4月13日 13時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - たまらないほどに読み進めてます！！こういう主人公ちゃん大好きです！！！続きを楽しみに何度も読み返してます。応援してます！頑張ってください！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月12日 18時
