4 ページ32
Aの身体能力の高さはクロウリーやバルガスから聞いており、尚且つ彼女の世界についても多少知っているクルーウェルは、Aが二人に鉄拳制裁を食らわせたことに対して、楽しそうに喉の奥で笑っている。
｢"女は体だけ"ね……下らん、そんな言葉は私を降してから言え。調子に乗るなよ、能無し共｣
地面を跳ね、転がりながら中庭の奥へと吹き飛ばされていった男達には聞こえていないだろうが、Aとしてはどうしても腹立たしかったのだ。
普段と変わらないように見える無表情の中に冷徹さを滲ませながら、彼女は男女差別をしてきた二人がのびているであろう方向を睨みつけた。
｢くくっ……Good Girl。よくやった、褒めてやろう｣
｢どうも。もしも校則に引っかかった場合はきちんと対処しますので、お伝え下さいませ｣
｢どこまでも良い子だな、お前は｣
クルーウェルの手がぽんと頭に乗り、ゆるゆると動かされて頭を撫でてくるのを大人しく受け止めていると、図書館からエペルとジャックが駆けつけてきた。
二人共が冷や汗をかき、何があって何をされたのかを心配そうに尋ねてくる。
そんな二人のことを見遣ったクルーウェルは、この後に自室へと来るように伝えて、問題児二人を引き摺りながら去っていった。
｢ぼ、僕らも！？｣
｢何かやらかしたっけな……｣
｢違うと思いますよ。まずは荷物を取りに行きましょうか｣
図書館に置いてあった荷物を纏めてクルーウェルの部屋を訪れると、執務机で書類に万年筆で書き込んでいる彼の姿があった。
Aは扉の前で立ったまま動けない二人を適当なソファに座らせると、簡易キッチンで珈琲を入れている。
挽きたての珈琲の香りが部屋を満たした時、漸くクルーウェルはペンを置いて顔を上げた。
｢ブラックか？｣
｢はい。ジャックさんとエペルさんは、ミルクやお砂糖どうされます｣
｢｢ミルクだけで｣｣
何を言われるのかと緊張している二人に対し、クッションを抱き締めてリラックスしている様子のA。
全員には珈琲が行き渡ったのを確認してから、クルーウェルは唐突にある提案をしてきたのである。
｢テスト期間中、お前達は俺の部屋で勉強して構わない｣
先程のような面倒事が起こらないようにする為という名目ではあるが、クルーウェルの私情もかなり含まれているようだ。
｢鍵はA、お前が持っていろ｣
｢了解致しました｣
まさか合鍵を渡すだなんて思わず、ジャックは驚きで固まってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1419人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みっきーうっきー - とても、面白い作品ですね。更新停止とかやめてくださいね！応援しているので、頑張って下さい！諦めないで下さい！ \`∀´/ (2020年4月14日 22時) (
レス) id: fbdfd6ec63 (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - 本編への組み込み方はもちろんのこと、描写のひとつひとつが美しくて読んでいてとっても楽しいです…！素敵な主人公ちゃんと出会わせてくれてありがとうございます。これからも楽しみにしています！ (2020年4月13日 13時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - たまらないほどに読み進めてます！！こういう主人公ちゃん大好きです！！！続きを楽しみに何度も読み返してます。応援してます！頑張ってください！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月12日 18時
