紫と狼でお勉強 ページ29
かりかり、ごしごし、ぺらり。
学園にある図書館の一つの机では、ひたすらマジカルペンでノートに文字を書き込む音と、教科書や参考書のページを捲る音だけが生まれていた。
｢んん？ ……ねぇAちゃん、この薬草ってどんな別名があるんだっけ？｣
｢マンドレイク、またはマンドラゴラの俗称は"恋なすび"ですよ｣
｢あ、それだ！ ありがど！｣
｢悪ぃ、A。魔法史のここなんだがよ｣
｢歴史は年号ではなく出来事の順序で覚えると良いですよ。この次に起きたのは何でしたか｣
｢えーっと……あぁ！ あれか！｣
エペルとジャックよりもAがこの世界の植物や歴史に詳しいのは少し謎な部分もあるが、三人で協力し合って定期テストを乗り越えようとする姿勢は素晴らしいものだ。
それと同時に、Aとエペルという絡まれやすい見た目の二人のことを、本人は無自覚ではあるもののジャックが周囲を牽制しているので調度良い三人なのだろう。
すると、ひょっこりと本棚の横からユウが顔を出した。
｢お、ユウじゃねぇか。どうした｣
｢クルーウェル先生がAちゃんを呼んでくるようにって。勉強中にごめんね｣
｢呼んだのはクルーウェル教授殿で貴方ではないのですから、謝罪は結構ですよ。ではお二人共、私は一旦席を離れますね｣
｢うん、いってらっしゃい｣
｢変なヤツらに絡まれたらスマホ鳴らせよ｣
ジャックに関してはもう父親みたいになっている。
オーバーブロットしたレオナを元に戻す際に、両腕が砕け散ったことがあまりにも衝撃的過ぎたらしく、それから過保護が悪化したらしい。
元々兄気質で、厄介事に巻き込まれてしまうAのことを心配していたのに、自寮のことに巻き込んでしまったことを悔やんでいたりもしている。
｢よし、頑張ろっか｣
｢そうだな。Aが帰ってきた時に俺らが教えれるくらいになってやろうぜ｣
｢おー！｣
＊＊＊
クルーウェルの部屋の扉をノックしたものの部屋の中から返事はないし、なんなら気配すら感じられないことでAは首を傾げた。
ユウが嘘をつくとは思えないし、クルーウェルが呼んでおいて何処かへ出掛けるとも考えにくい。
｢お、ほんとに来たんだ｣
｢素直な性格してんだね、特待生ちゃん｣
厄介事の気配がして、Aは嫌々後ろに振り返った。
そこにはクルーウェルではなく、見知らぬオクタヴィネル寮生とハーツラビュル寮生が道を塞いで立っている。
ニヤつく二人を見て、Aは心底面倒臭そうに溜息を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1419人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みっきーうっきー - とても、面白い作品ですね。更新停止とかやめてくださいね！応援しているので、頑張って下さい！諦めないで下さい！ \`∀´/ (2020年4月14日 22時) (
レス) id: fbdfd6ec63 (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - 本編への組み込み方はもちろんのこと、描写のひとつひとつが美しくて読んでいてとっても楽しいです…！素敵な主人公ちゃんと出会わせてくれてありがとうございます。これからも楽しみにしています！ (2020年4月13日 13時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - たまらないほどに読み進めてます！！こういう主人公ちゃん大好きです！！！続きを楽しみに何度も読み返してます。応援してます！頑張ってください！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月12日 18時
