4 ページ14
レオナの兄の息子で、レオナの甥、つまりは第一王位継承者である。
チェカは子供特有の無邪気さでレオナの腹に乗り、先程のマジフト大会の感想を話し、何時家に帰ってくるのか尋ねている。
腹の傷に響かないかは心配しているのはAとユウだけで、どうやらラギー達はレオナの呼ばれ方に気を取られて腹を抱えて笑っていた。
ニコニコと邪気のない笑みを浮かべるチェカは、レオナの次にAに狙いを定めたらしい。
｢おねーたん！｣
｢……私、でしょうか｣
｢うん、私だよ。おねーたん、すごくカッコよかったね！｣
｢それはどうも｣
｢きらきら〜って光って、びゅーんってお空を飛んで、沢山シュート決めてたね！｣
たたたっと駆け寄って来たと思いきや、そのまま全力で抱きついてきたチェカ。
Aはそんな彼の体に腕を回し、抱き上げて顔を見ながらきちんと話を聞いて返事をしていた。
首に回された腕にぎゅっと力を込められ、Aとチェカはぴたりとくっついている。
｢えへへっ｣
｢……はいはい｣
見知らぬ女性であるAに一瞬で懐いたチェカにも驚いたが、皆が何より驚いたのは彼女のとった対応であった。
勝手なイメージではあるが、Aは子供や赤ん坊の世話をするのは不得手だと思っていたのだ。
しかし実際、彼女は妹がいたこともあって幼い子供の相手は慣れているし、チェカは人の話を聞かない人間ではない為に受け入れたのである。
｢おいチェカ、Aから降りろ｣
｢A……？ おねーたん、Aってお名前なの？｣
｢ええ、はい｣
｢そっか！ ならAおねーたん、また抱っこしてね！……レオナおじたん、抱っこして！｣
レオナの言うことに素直に従い、再び彼の元に駆け寄り抱きつきに行ったチェカのことを見つめてから、Aは自分の服の胸元をきゅっと掴んだ。
無邪気で、人に好かれて、優しい心を持っているチェカは、彼女の実の妹と見た目は違えど性格がそっくりだったのである。
二度と会うことの出来ない妹に思いを馳せていると、ちょんちょんと背中をつつかれた。
｢あの、A｣
｢はい、何でしょうか｣
振り向いた先にはラギーが居心地悪そうに、はたまた照れくさそうに目を逸らし、腕を後ろで組んだ体勢で立っていた。
はて、Aが首を傾げたところで、彼は意を決したような面持ちで勢いよく頭を下げたのである。
｢Aのこと、傷つけて、Aの優しさに甘えて……本当にごめんなさいっ｣
ぽたり、ぽたりと床に静かに染みが作られていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1419人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みっきーうっきー - とても、面白い作品ですね。更新停止とかやめてくださいね！応援しているので、頑張って下さい！諦めないで下さい！ \`∀´/ (2020年4月14日 22時) (
レス) id: fbdfd6ec63 (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - 本編への組み込み方はもちろんのこと、描写のひとつひとつが美しくて読んでいてとっても楽しいです…！素敵な主人公ちゃんと出会わせてくれてありがとうございます。これからも楽しみにしています！ (2020年4月13日 13時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - たまらないほどに読み進めてます！！こういう主人公ちゃん大好きです！！！続きを楽しみに何度も読み返してます。応援してます！頑張ってください！ (2020年4月12日 22時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月12日 18時
