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Aの魔法によって凍ってしまった部屋であったが、トレインとクルーウェルの手によって元の姿を取り戻した。
大型冷凍庫に閉じ込められた状態と変わりなかった為、Aの指先は震えているし、唇も桃色から薄紫色へと変色してしまっている。
そのことに気が付いたクルーウェルは、部屋に置いてあったウールのブランケットを彼女にふわりと羽織らせた。
その間にトレインは温かい紅茶を入れて、ブランケットを掛けられたAをソファに座るように促す。
｢お世話をかけます。申し訳ありません｣
｢構わん。お前は優秀な仔犬だからな、風邪をひかれて休まれても困る｣
｢ほら、飲みなさい｣
｢……感謝致します｣
霊力を魔力へと変換することは成功した。
実際に魔法を使用出来たし、かなり大規模な魔法を使用したにも関わらず霊力が減少した感覚すらない。
それらを報告すると、トレインはふむと考え込み、クルーウェルは興味深そうに笑みを深めた。
｢では、お前のメイン魔法は氷になりそうだな｣
｢かもしれませんね。それに、ユニーク魔法……でしたか。それも創れたかもしれません｣
｢何？ 詳しいことを言え、仔犬｣
｢何となくではあるのですが……｣
何故ルークがAのことを"雪の女王"と呼ぶのか、それが今日解明されることとなった。
たった一度だけ魔法を使っただけ、たったそれだけのことでAは自身の魔法が異質なことに気が付いたのだ。
どうして分かったのかなんて分からない、けれど心の中でストンと違和感が落ち着いたのである。
｢『
｢本を浮かせたて程度、誰でも――っ、それは！｣
｢霊力を魔力に変換させ、魔法を使用した時にできそうな気がしただけでしたが……出来ましたね｣
万物を己の思い描いた通りにする魔法だった。
所謂チートと呼ばれるものであろうが、彼女の魔法にはきちんと一つの弱点がある。
｢弱点とは、何かね？｣
｢私に"永遠を示すこと"｣
｢永遠だと？｣
アンデルセンの雪の女王を知っているだろうか。
此処はヴィランズの世界なのだから、悪役である雪の女王の立場に当てはまっても可笑しくはないだろう。
雪の女王が氷ならば、永遠は熱。
雪の女王が冷静さや理性を表すのならば、永遠は情熱や感情。
つまり、この魔法は彼女の冷静さを失わせた瞬間に溶けてしまうのだ。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
