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水中でも普通に息が出来るというのは、今までに感じたことのない不思議な感覚だった。
｢クリオネちゃん、人魚になっちゃったねぇ｣
｢ふふ、とてもお似合いですよ。このまま人魚として過ごしますか？｣
｢流石にそれは致しません。……というか貴方達、体が大きいといいますか、長いといいますか｣
｢オレとジェイドはウツボだからねぇ｣
｢驚きましたか？｣
｢はい、ある程度は｣
着ているブラウスが肌に引っついてくるものの、流石に下着姿にはなれやしない。
それに、彼女は腰に誰にも見られたくない秘密を抱えているのだから上の服は脱げないのだ。
多少体のラインが分かるものの、ブラウスも下着も着ているし、更にはサラシで潰してある為に問題はないだろう。
そのままくるりと回転し、水中で動く感覚を確かめていると、フロイドに両手を握られた。
｢尾びれ一つは初めてでしょ？ オレが教えたげる♡｣
｢では僕も一緒に｣
フィンキックの要領で水を蹴っているが、やはり最初は上手くいかずに上体が倒れたりしてしまう。
焦れったくなったのか、フロイドは片手を話すと彼女を引っ張って前へと泳ぎ始めた。
反対の空いている手をジェイドが優しく絡め取り、腰に手を添えながらサポートをしてくれている。
焦れったくなったとはいえ、彼は強引に凄まじい速さで泳いでいくのではなく、好き勝手しつつもゆっくり彼女がついてこれる速度で泳いでくれていた。
｢気持ちいいでしょ〜？｣
｢……ええ、とても｣
今まで無表情を貫き、全く感情が読めなかったAが目を細め、ほんの少しだけ嬉しそうに口角を上げる。
彼女のその表情を前と横から見たフロイドとジェイドは顔を見合せてから、一緒のタイミングで彼女の体をぎゅっと抱き締めた。
唐突に抱き寄せられ、意味が分からずきょとんとしているAのことなど気にせずに、二人は抱き締め続けている。
｢クリオネちゃんがっ、Aちゃんが笑ったぁ〜！｣
｢ええ、ええ！ とても愛らしかったです｣
何故かとても喜んでいる双子に、Aは困惑することしか出来なかった。
すると、コンコンと水槽が叩かれた音が聞こえてきて、三人は揃って水面を見上げる。
そこに居たのは、眼鏡をかけた銀髪の男性であった。
｢随分楽しそうなことをしていますね、二人共｣
｢おや、アズールではありませんか｣
｢アズールだぁ｣
どうやら双子の知り合いのようである。
彼はAを見つめ、そして優しい笑顔を向けた。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
