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｢ねえ、Aちゃん｣
｢はい｣
｢何かあったら……ううん、何も無くてもオレのこと頼っていいからね？｣
きっと彼女は孤独だ。
リドルのように傍に居てくれる幼馴染も居ない、何やかんや言いつつも慕ってくれる後輩も居ない。
ユウとグリムのように相棒と呼べる相手も居ない。
この様子では、ポムフィオーレ寮の誰かと特別親しくしているわけでもないのだろう。
鋭い観察眼を持っているケイトは一瞬で分かった。
気の無いような、空返事をしてくるAのことが途端に幼く、今にも壊れてしまいそうな存在に見えてきてしまう。
思わず、彼の腕は伸びていた。
｢オレはキミのこと、大切なんだ｣
小さな肩、薄い腹、括れたウエストに見るだけで分かる細くて長い手足。
ぎゅうっと抱き締めてみたものの、これ以上力を込めてしまえば彼女の体が折れてしまうのではないか。
ケイトはそんな不穏な考えを思いついてしまった。
――やめろ、やめろ、やめてくれ。
――オレから、彼女を奪うモノは何であろうと……許さない。
＊＊＊
｢Aーーー！！！｣
ケイトと解散した後、Aはしっかりと午後の授業を終えてポムフィオーレ寮への道を歩いていた。
すると、後ろから大きな声で名前を呼ばれ、更には背中に何かがぶつかってくる。
衝撃の大きさと感触から、小さめで柔らかなものがぶつかってきたのだと分かった。
｢……グリムさん｣
｢A！ 久し振りなんだゾ！｣
｢昨日会っていますけれどね。それで、如何されました｣
｢Aは二日後、空いてるのか？ 空いてたらオレ様と一緒に『なんでもない日のパーティ』に行くんだゾ！｣
特に予定がないことを伝えると、グリムは嬉々としてその場から走り去っていった。
はて、何であったのだろうか。
考えても分からないが、取り敢えず何処かへ帰っていったのだから自分に用はないだろうと判断して再び歩き出す。
すると今度は何故か体が浮いてしまった。
｢あはぁ、クリオネちゃんみーっけ♡｣
原因は双子の片割れの悪戯好きである。
腹の両サイドに彼の手が添えられ、そのまま持ち上げられた上にくるりと体を回転させられた。
ほんの少しだけ上からフロイドを見下ろす格好となった為、その瞳や表情がよく見えるようになり、彼が至極楽しそうにしているのが分かる。
｢ねーねー、クリオネちゃん。クリオネちゃんって魔法使えるようになったんだよねぇ。オレに見せてよ｣
きらり、彼の金の瞳がギラりと光った。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
