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｢昔々、藤原景清という殿方がおりました｣
｢ふ、フジワラノカゲキヨ……？｣
｢その方には顔に痣があったのですが、この"痣丸"の刀身……刀を通して痣を見ていると、みるみる痣が消えてしまったのです｣
｢えっ、何それ！？｣
｢まあ驚きますよね。私も半信半疑でありましたが、実際に痣丸は病を斬ることが出来ました｣
病を斬る、とは。
"病は気から"という諺があるように、人間が病にかかる時には何か病魔のようなモノが関与していると仮定しよう。
痣丸は破邪の刀、つまりはその病魔らしきものを斬ることで病を治す力があったのだ。
平成時代を生きたことがあるAにとって、何と非科学的で下らない原理なのだろうかと嘲笑ったこともある。
ただ、己に力を貸してくれている痣丸のことを無下にしは出来ないし、信用しないだなんて愚者の愚行だ。
｢私は無神論者でしたし、今でも神なんて興味は皆無ですし寧ろ文句の一つも言ってやりたいですが……痣丸に宿った"付喪神"だけは信じました｣
｢ツクモガミって何？｣
｢長い年月を経た道具に神や精霊が宿ったもの、つまりは下級神です。人を誑かすとも言われておりますね｣
｢それ駄目じゃない！？ 誑かすって……！｣
痣丸と、もう一振の刀である鬼神大王波平行安にならば誑かされても構わない。
誑かされるだなんて自制心が足らない未熟者だという証であると考えているAがそう言い切ると、ケイトはその優しい表情に見蕩れてしまった。
無表情なのに変わりはないが、儚くて穏やかな雰囲気を醸し出した彼女に、本当の愛というものを感じてしまったのである。
｢簡潔に纏めると、痣丸と
｢それは、Aちゃんが痣丸で切っちゃえば良いからってことだよね｣
｢それ以外にないでしょう｣
ケイトは不安を覚えた。
他の人がオーバーブロットしても、Aさえ協力してくれたら相手は苦痛と混乱から解放される。
それはとても喜ばしいことだろう。
では、もしもAがオーバーブロットをしてしまった場合はどうなるのだろうか。
闇の鏡から類稀なる才能を持つ、と評価された彼女ならば魔力も多く、魔法も強力なものとなる。
そうなった場合、Aは誰にも助けを求めることが出来ない。
｢(それはあまりにも孤独だよ……)｣
彼は胸が苦しくなった。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
