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一方その頃、リドルとトレイがヴィルから睨まれていることなど露知らず、Aはクルーウェルの部屋を訪れていた。
朝一に訪問するなど非常識かもしれないが、昨日許可を貰っているので問題はない。
理由としては、霊力を魔力に変換することが出来ないかを実験する為であった。
｢さて、俺は何をすれば良い？｣
見目も良く、性格も淑やかで騒ぐこともない。
授業態度は大変真面目であり、更には他の生徒やクルーウェル自身ですら気付かなかったような物を見ることの出来る着眼点を持っている。
Aのそういう部分を、クルーウェルは途轍もなく気に入っていたのだ。
それ故に、こんな朝っぱらから態々彼女の為に時間を割いて協力をしているのである。
｢そうですね……私に、魔法ではなく魔力で触れることは出来ますでしょうか｣
｢魔法を当てるのではなく、魔力を身に纏えということか｣
｢はい、そういうことです｣
魔力を元に魔法を使用することは多々あれど、魔力を我が身に纏わせることはしたことがない。
出来るかなど分からないが、難易度が高ければ高い程に闘志を燃え上がらせるのがクルーウェルだ。
何時ものようなニヒルな笑みを浮かべて、彼はAの髪を優しく梳いた。
絹糸のように細く、滑らかな手触りの紫色の髪がさらさらと揺れ動く。
すると、何者かによってクルーウェルの部屋の扉がノックされて、返事をする前に開かれた。
｢失礼、私も混ぜてもらえるかな｣
入室してきたのはトレイン教授であった。
どうやら、クルーウェルが昨日ぽろりと自慢げに話を零していたらしく、興味を持った為に見学しに来たらしい。
Aとしても、何かしらの要因で霊力が暴走してしまった際に助力をしてもらえるのは有難い。
二人からすんなりと許可を貰えて、トレインはほんの少しだけ嬉しそうに頷いた。
｢さて、俺には魔力を身に纏うという経験はない。だからこそ安全策で纏うのではなく、"流し込む"ことにした｣
｢成程、分かりました。手でも繋げばよろしいでしょうか｣
｢それでは効率が悪いだろう？ ……こうすれば良い｣
ふわり、と彼の香水に包まれた。
抱き締められたのだと気付いた時には驚いたものの、すぐにふわふわのコートが肌に触れて、その手触りの良さに気を取られてしまう。
体格の良いクルーウェルから抱き締められているので、Aの体はすっぽりと包まれている格好だ。
羞恥で真っ赤になることを期待していたクルーウェルは少しだけ不満げにしていた。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
