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甘いものを手に入れたAは、マジフト会場の観覧席に静かに座って試合が始まるのを待っていた。
因みに彼女、ヴィルからのしつこい選手勧誘を全力で断り、正論を突きつけて論破して丸め込んだのである。
マジフトをするのは構わないが、注目を浴びたりテレビ放送で顔が晒されるのは極力避けたいのだ。
｢えー……ゴホン。ナイトレイブンカレッジ寮対抗マジカルシフト大会へご来場の皆様。大変長らくお待たせ致しました！ いよいよ選手の登場です！｣
アナウンスが響き渡り、会場内のボルテージが急上昇して歓声が沸き上がる。
最初に登場したのは、去年一昨年と優勝しているディアソムニア寮の選手達。
先程の声量を上回る歓声が響いたその時、Aは遠くから地響きのような音を耳に捉えて立ち上がり、音の聞こえてくる方向へと顔を向けた。
｢何だあれは！！？｣
鈍音の正体は、何者かによって体を操られている観客が会場へと押し寄せてきたことによるものであった。
ディアソムニア寮の選手団に目掛けて、一直線に走らされている観客達は勿論の如くパニックになっているし、選手もアナウンサーも、更にはAと同じく観覧席に座っている者達も慌てふためいている。
不味い、と思った時にはもう遅かった。
ディアソムニア寮の選手の何人かが巻き込まれ、呑み込まれ始めたのだ。
かといって魔法を一般人に使用することも出来ず、彼らは手を出せない状況に陥っている。
｢――Aよ、わしに力を貸してくれぬか｣
｢ええ、勿論。騒がしくて堪りませんもの｣
唐突に姿を現したリリアに協力を求められたAは素直に頷き、マジカルペンをブレザーの内ポケットから取り出すとその場で構えた。
｢『
――観衆全員を安全地へと避難。精神を安定させ、怪我人には治癒を施しなさい。
一瞬で姿を消した彼らは観覧席に座らされたり、地べたに倒れ伏したりしている。
それでも目立った外傷はないようだし、ディアソムニア寮の生徒も人波から逃れることが出来たようで一段落だ。
ふわり、と箒を浮かす感覚で己の体を浮かし、選手団へと近寄ったAは再びユニーク魔法を使用する。
｢『
――治癒と体力回復を付与しなさい。
蜂蜜色の光の粒子が選手の周りをくるくると踊り、傷の修復と体力回復を行った。
口々に伝えられる感謝を曖昧な返事で受け止めていると、リリアに腕を引っ張られて抱き寄せられる。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
