初登校は紫同士で ページ9
たたたっ、と後ろから控えめな足音が聞こえてきた為、Aはくるりと振り返った。
｢Aちゃん……！｣
｢エペルさん、如何なさいました｣
｢そ、その、よかったら一緒に行こう？｣
｢勿論｣
Aの答えを聞いて、エペルはふわっと花が咲くように笑った。
二人の出会いは昨日、学園長室からヴィルと共に帰寮した時のことである。
部屋に戻ろうとした丁度そのタイミングに、たまたま隣の部屋となったエペルが挨拶に来ようと部屋から出たところだったのだ。
予想だにしない対面となったからか、オロオロとしていたエペルであったが、Aが快く部屋へと招き入れ、紅茶を出したことに安堵し、平常を取り戻す。
そこから小一時間程だが会話を弾ませたのだ。
｢この学園、きかねヤツが多い気がする……入学する前のイメージとは、ちょっと違うな｣
と、エペル本人が言っていたことも踏まえると、ある程度常識人のAを気に入ったようである。
それに加えてAもエペルも美しい紫色の髪をしている為、親近感を抱いていたのだ。
今もゆっくり横並びで歩きながらも、Aの髪をくるくると指で巻いて遊んでいる。
｢Aちゃんの髪は綺麗だね｣
｢それはどうも｣
Aとしても、己の髪と瞳は誇りだ。
誰かから純粋な気持ちで褒められて嫌なわけがないし、寧ろ嬉しいと感じている。
しかし、朗らかな朝を過ごしていたAとエペルであったが、何やら道の前方が騒がしいことに気がついた。
見えるのは人集りと、特徴的なオレンジの髪。
それとつい昨日聞いた二つの声だ。
よくよく見てみれば、グリムとオレンジ髪の男子生徒が言い合いをしているようである。
蒼炎が出ているのを見る限り、此処を強行突破するのは得策ではないだろう。
｢……煩いな｣
｢迂回しましょうか。巻き込まれても面倒です｣
二人の考えは一致した。
道の横に逸れ、別のルートで教室へと向かおうとしたのだが、ここで予想外のことが起きてしまう。
男子生徒の魔法によって、グリムの炎がAの近くに飛ばされてきたのだ。
持ち前の身体能力で炎の直撃は避けるものの、風に煽られた炎が勢いを増したことによって太腿に熱を感じる。
｢だっ、大丈夫！？｣
エペルが咄嗟の判断でAを引き寄せ、後ろの芝生へと倒れ込んだことで火傷は防げたものの、制服のスカートの端が焼け焦げてしまっていた。
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にゃーちゃん - とても面白いです！これからも頑張ってください！ (2021年5月16日 20時) (
レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです！面白いです！！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです！マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください！！ (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月2日 1時
