真紅の君 ページ24
｢ボクはリドル、リドル・ローズハート。君は噂の特待生だね？｣
｢ええ。お初にお目にかかります、名をA・Aと申します｣
｢あっていたなら良かったよ。でも関心はしないな……こんな時間に出歩くだなんて。補習でもあったのかい？｣
｢いえ、――｣
今日一日の出来事を簡単に説明すると、リドルはどんどん顔を曇らせていった。
自分の寮の生徒が関わっていることもあるだろうが、女性を大切に扱う彼からすれば、危険なことにAのことを巻き込んだことが納得出来ないらしい。
すると、リドルはAがブレザーを羽織っていないことに今更ながら気が付いた。
もう夜になりかけ、決して暖かくはない。
｢寒くはないのかい？｣
｢薄寒いとは思います｣
｢ブレザーは……っと、これは酷いな。実験か？ いや、一年生で危険な実験は少なかったから朝のグレート・セブンの像が焼かれた事件かな？｣
｢ええ、まあ。火の粉が飛んできましてね｣
そこでふむ、と一つ考えたリドルは自らブレザーを脱ぐと、そのまま彼女に羽織らせた。
驚きからぱちり、と瞬きをした彼女であったが、流石に出会ったばかりの先輩からブレザーを借りるわけにはいかない為に脱ごうとしたが、それも彼に阻止されてしまう。
160センチとそこまで身長は高くないが、148センチのAからすれば高いものだし、何より純粋な男女の力の差には敵わない。
｢……構いませんのに｣
｢駄目だよ。女性なのに体を冷やすのは良くないし、何より風邪をひいても駄目だろう？｣
｢貴方も同じでしょうに｣
｢ボクはそこまでヤワじゃないし、魔法で暖かくすることも可能だからね｣
そう言われてしまえば、断る理由もない。
一言礼を伝えてからブレザーに腕を通し始めた彼女を見て、リドルは満足そうに頷いた。
彼女と比べて身長も高く、性別も違うリドルのブレザーは大きい。
着てみたものの、袖は余って萌え袖になってしまっているし、丈も少し長めでお尻まですっぽりと隠れている。
｢……ぶかぶかですね｣
｢ふっ……ほんと、だねっ｣
くすくすと上品に笑う彼につられて、Aはほんのりと笑顔を浮かべた。
感情の起伏が少なく、表情が変化することが殆どないAからすれば珍しいことである。
他愛もないことを話しながら歩いていれば、もうすぐそこに寮の入口が。
｢感謝致します｣
｢ふふ、構わないよ｣
｢明日、整えてからブレザーを返却させて頂きますね。朝に会うことは可能でしょうか｣
｢ああ、勿論｣
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にゃーちゃん - とても面白いです！これからも頑張ってください！ (2021年5月16日 20時) (
レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです！面白いです！！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです！マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください！！ (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月2日 1時
