2 ページ38
コツリ、コツリ、と一定のリズムでヒールが大理石の床を叩いて音を鳴らす。
歩く度にドレスの裾がひらりと舞い、シャンデリアの人工的な光によってAの紫色の髪とワインレッドのドレスが美しく照らされていた。
今回の舞踏会のドレスは、体のラインにぴったりとフィットした、シンプルなデザインであるホルターネックのイブニングロングドレスである。
普段は下ろしている髪は編み込みながら纏め上げられており、更にはドレスと酷似した赤紫色のラメ入りのアイシャドウが目元を華やかさを与えていた。
｢――Aさん！｣
誰も彼もがその姿に見惚れ、女性であっても容易には近付けず、声もかけられない状況の中で、NRC生ではない男子生徒が彼女の名前を呼ぶ声が響く。
慌てて近寄ってきた男子生徒は、連続誘拐犯の被害にあった際に知り合ったノアであった。
見苦しくない程度の格好が出来ているのならば、特にお洒落には興味が無いと語っていたノアも、今晩はきちんと髪をワックスで纏めて、清潔感の溢れるスーツを身に纏っている。
｢久方振りですねぇ、ノアさん。その様に慌てて、一体如何なされました｣
｢いや、その……Aさんが居るとは思ってなくてさ。Aさん、こういう場所嫌いそうだし、自由参加だから来ないと思ってたんだ｣
｢えぇ、嫌いです。勿論不参加のつもりでしたが、学園長殿に頼み込まれてしまいまして｣
｢そうなんだ。でも、Aさんにまた会えて良かった｣
NRC生とRSA生が仲睦まじく話しているのが珍しいのか、はたまた何時もは必要最低限の会話しか行わない二人が饒舌なのが珍しいのかは分からないが、確かに二人は周囲から奇異の目で見られていた。
最初はRSAに絡まれているのかと思っていた皆であったが、リドルやルークなどの人狼ゲームに巻き込まれた面々が不満そうにしながらも、二人を引き離そうとしている面子を止めている。
｢あ、ルークさん居た｣
｢今からポムフィオーレの皆様と合流するつもりですが、ルークさんに会っていかれますか｣
｢そうしようかな。というかAさん、ポムフィオーレ寮なんだね｣
｢闇の鏡が勝手に組み分けました｣
容姿も整っているし、何か目的に対して努力を惜しまない性格をしているあたり、ノアから見ても彼女がポムフィオーレ寮に組み分けされたことに納得が出来る。
そんな他愛もない会話をしながら、Aとノアはポムフィオーレ寮生の集まる中心部へと向かって移動を始めたのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2094人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
太宰、乱歩などの頭脳派推し - いろんな世界に行ってるみたいなので、其処で知ったボカロなどを歌ってみてほしいです！歌ってみた的な。 (2022年3月14日 3時) (
レス) @page20 id: 6e38a4139d (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 舞夜桜さん» リクエストですね、大丈夫ですよ！ 喜んで承ります〜！ 少しお時間いただきますね。 (2020年7月27日 21時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
舞夜桜 - モブ男が夢主を襲う｢身体中を触ったり、叩いたりする」 それを目撃したキャラが激おこする。 とか書けますでしょうか？ 無理でしたら大丈夫です！ (2020年7月27日 20時) (レス) id: 7970974f99 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - ミミズクさん» ありがとうございます〜！！ 無理してませんよ！ 楽しくやってますから！ これからも頑張りますね！ (2020年7月17日 9時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ミミズク - いつ見ても最高です！更新無理せず頑張ってください!!! (2020年7月16日 23時) (レス) id: e138928b3a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年7月4日 16時
