白を黒が染める ��

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先程までの放送で分かったことは四つ。
人狼は二人であること、村人側には預言者と狩人がいること、第三陣営である妖狐などはいないこと。
そして、人狼役の二人はただの参加者ではなく、人狼ゲームのスペシャリストであること。
第三陣営が居るか居ないかを探らなくても良いのは楽だが、村人側に狂人が居ないかは知らされていないし、何より向こうの回し者が混ざっていることは不安を煽る点であろう。


｢……まずは、自己紹介と部屋番号を教え合いませんか？ 何かあった時に部屋に行くこともあるでしょうし、名前を知らないのは困ることも多いでしょう｣


アズールはたった一瞬のアイコンタクトだけで、最もゲームに詳しい筈のAが司会者役を務める気が全く無いことを理解したようだ。
人当たりの良い美しい笑みを浮かべながら、住人達をぐるりと見回しつつ、彼はゲームを進めていこうと呼びかける。
勿論、こんな状況下で普通に過ごせている奴こそが人狼ではないのか、と疑われたりもしたのだが、そこはAの援護射撃とアズールの口の上手さで論破しておいた。


｢僕はアズール・アーシェングロット、ナイトレイブンカレッジの二年生です。以後お見知りおきを｣

｢俺はトレイ・クローバー、ナイトレイブンカレッジの三年生だ｣

｢はぁい、初めまして〜。オレはトレイくんと同じく三年生のケイト・ダイヤモンド！ 気軽にけーくんって呼んでね！｣

｢Enchanté！ 私はルーク・ハント、彼らと同じく三年生だよ｣

｢ボクはリドル・ローズハート、アズールと同じく二年生だ。よろしく｣


｢……お初にお目にかかります、名をA・Aと申します｣


ナイトレイブンカレッジ生の挨拶が終わったところで、他の七人の自己紹介が始まった。
全員から高校の名前を言われたのだが、他人の在学校など興味の欠片もないし、何より名前と部屋番号だけ覚えておけば困ることはない。
Aは話している相手の瞳の動き、瞬きの回数、唇の震えや指先や足先の挙動、癖などを静かに観察しながら話を聞いていた。

軽く容姿と名前の紹介をしておこう。
ブロンドの短髪にピアスを沢山つけた男がオリヴァー。
黒髪に眼鏡と一見真面目そうに見えるが、かなり短気であると予想出来る男がエイダン。
リドルがデュースタイプだと評価した男二人の内、赤髪の方がカーター、真っ青な髪の方がディラン。
そして、真っ白なロイヤルソードアカデミーの制服を身に纏っている、薄緑色の髪を持つ男がノア。

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