自分らしく、不敵な態度を ページ10
陣「どんなに期待したって、親戚連中がお前を愛する事は今後一切無いだろうよ。」
陣「“血の繋がり”とか気にする前に、お前には支えてくれてる奴らが居んだろ。ソイツらの気持ちを蔑ろにしてまで必要なモンか?」
鋭い松田さんの言葉に、私はひた隠ししたズルい部分をさらけ出された気分になった。
『…ですよねぇ。』
見ないようにした本心を言い当てられ、ただ乾いた笑みしか浮かばない。
しかし、厳しいばかりではなかった。
その証拠に、私の頭を撫でる手は泣きたくなるくらい優しかった。
『無様、ですよね。私らしくもない。』
陣「だな。いつもの負けん気で喧嘩腰でやってやれ。」
松田さんが頭から手を離すと、彼の身体が透けていく。
陣「………もう時間か。」
『ありがとうございました。』
ペコリと頭を下げると松田さんは再び煙を吐き出す。
陣「まぁ、なんだ。降谷が世話になってるしな。あのバカが気に入ってる女にも興味があったからな。」
『ご期待に沿えました?』
陣「あぁ。面白いくらい拗れて飽きないな。」
嫌味っぽく笑われるが、なんとも言えない。
私は強気に笑う。
陣「これからお前の所に同期の奴らが来るからな。」
『はい。待ってます。』
それを最後に、松田さんの姿は完全に消えてしまった。
そして、私の意識も再び闇に塗り潰されていく。
………戦ってやる。なんなら、地獄に突き落としてやる。
不安と心細くなっていく気持ちを奮い立たせ、私は目を閉じた。
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気が付くと、私は見覚えのある和室に寝かされていた。
………縛られた状態で。
『随分と悪趣味だな。』
わざと大きな声で呟くと、舐められるような気持ち悪い気配が近付いてくる。
??「まぁ!なんて野蛮な口調なのかしらっ!」
大袈裟に驚いた仕草を見せる声に振り返ると、やたら高そうな着物を着たババアが立っていた。
『捨てた子供を誘拐して縛ったまま放置する奴らに言われるなんてな。』
??「篠ノ原の大お祖父様から聞きましてよ?貴女、下品な輩と親しくしてるらしいじゃなの。」
『ハッ!ダブル不倫した奴が“下品”ねぇ?自分の事でも言ってんの?……柳ノ宮のクソ美伯母様?』
そう言うと頬に鋭い痛みが走った。
持っていた扇子で打たれたと理解するには、少し時間が掛かった。
口内に鉄錆びの香りが広がる。
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年7月19日 0時