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追憶の住人1 ページ9

気が付くと、私はいつかレムと再会したあの湖に立っていた。

【やぁ、また会ったね。お姉さん。】

『だな。今度はどうしたの?』

レムはふんわりと微笑み、片手を横にスライドさせる。
すると、淡い光が現れてソレは人の形になっていく。

「よぉ、久しぶりだな。」

光が造り上げたのは、見覚えがある男の人だった。

クセっ毛の黒髪にサングラス。口元にはタバコ。
寛がせたスーツ。

私は浮かんだ名前を呟く。

『えっと、松田陣平さん?』

尋ねると当たってたらしく、ニヒルに笑われた。

陣「なんだ、俺の事知ってんだな。」

『はい。失礼は承知の上で、知り合いに調べてもらいました。』

陣「だとしても、何千人と居る刑事から特定するのは骨が折れただろ?」

『いえ、案外簡単でした。』

サングラスの奥の目が、品定めするように細められる。

陣「と言うと?」

『まず、レムが呼び寄せれるのは少なくとも“霊的存在”…つまり既にお亡くなりになった方。』

『それから、降谷さんの本名を知ってるなら同業者か少なくとも親しい間柄。』

その事実を述べていくと、とても残酷な事をしてる気がした。
………だって、あまりにも酷すぎる。
つまり降谷さんは同期を………。

陣「そんな顔すんなよ。」

見かねた松田さんが私の頭をグシャグシャと撫でた。

陣「で、お前はこれからどうしたいんだ?」

『えっ?』

陣「あんま言えねぇけど、これからヤベェ奴らが来るんだろ?」

そう言って松田さんは頭をポンポンと軽く叩く。
なんとなく安心したが、胸奥は不確かな不安でざわついていた。

『…ですね。まぁ、分かりきってたので。』

あの親戚連中だ。
どうせ金で探偵とかを雇って私の事を調べさせたんだろう。

『降谷さんに想いを伝えられなかったのは、残念です。』

しかし、私は自分より降谷さんが心配だ。
彼は黒の組織に潜入調査をしてる身。
もしも親戚連中のせいで取り返しのつかない事態になったら、私は何を仕出かすか解らない。
それこそ血染めになる可能だってある。

陣「へぇ?案外、殊勝なんだな。」

『そうですか?初めて言われましたね。』

松田さんは煙を吐き出し、意地悪そうに笑んだ。

陣「けどよ。そんなんで良いのか?」

『…と言いますと?』

陣「いつまで、無い物ねだりしてんだ?」

飄々とした雰囲気だったが、松田さんの瞳は真っ直ぐに私を見据える。
核心を突かれた私は、思わず苦笑した。

自分らしく、不敵な態度を →←歪む視界で見た最後



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設定タグ:名探偵コナン , 安室透/降谷零 , 東亰ザナドゥ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年7月19日 0時

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