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ゼロの執行人編 容赦ない上司 ページ4

わざと俯いて声を震わすが、隊長には全く通じない。

佐「俺が言いたいのは、何故、使用許可を上に通さなかったか?ん?」

『そ、それなら!隊長だってタクシー代わりにヘリブッ飛ばしてるじゃないっすか!!』

佐「俺は良いんだ。何故なら、俺は隊長だ。」

理不尽極まりない!!!
その理屈通じるなら、私副隊長っすよ!??
…とは、流石に言えなかったけども。

佐「真面目な話、上層部が君に話があるらしい。」

『げぇ〜…。どうせ勧誘じゃないっすか。』

一気にゲンナリする私に、江戸川が口を挟んだ。

コ「か、かんゆう?…Aさんって、実はスゴい人?」

『スゴかないっての。ジー様連中が騒いでるだけ。』

なんか失礼だが、今は黙っとこう。
溜め息交じりにそう答えると、隊長が面白そうにクスクス笑う。

佐「ふっ。そんなに国防がイヤか?」

『そうじゃなくて。何処かの組織に所属したら、仲間が大変な時に駆け付けれないじゃないっすか。』

それに、私は上に登り詰めるより中間が最適だ。
程よく親しまれ、程よく畏怖される。
それくらいがベストだ。

佐「やっぱり、御神楽は真っ直ぐだな。」

グシャグシャと頭を撫でられ、私は仕方なくされるがままになった。
気だるいし、まず抵抗する気力と意思もないし。

佐「なら、このまま任務に出るか?」

『了解!』

あぁ、ソッチの理由で迎えに来たんだ。
途端にキリッとする私に、隊長は呆れたように溜め息を吐いて眉間を指で解す。

佐「…道中は仮眠でも取ってくれ。」

『ハーイ。』

隊長が来た時同様に縄ばしごに乗り、先に行ってしまう。
…察したんだ。
内心、空気を読んでくれて隊長に感謝した。

江戸川に簪を任せて、私は降谷さんの両手を握った。

『降谷さん…あの時に約束、覚えてますか?』

降「はい。」

【今回の事件が片付いたら私に時間をくれませんか!?】

私は出来るだけ明るく、微笑んだ。

『少し時間が掛かりますが、降谷さんの良い時で構わないので連絡下さい。』

そして、今持ち合わせてる勇気を全て出しきって。

降谷さんの頬に、唇を押し付けた。

降「えっ……?」

『それじゃ行ってきます!!』

恥ずかしさで私は慌てて縄ばしごに飛び乗った。



…分かりきってても良い。
ただ、初恋くらいワガママになろう。
私はヘリから町を見下ろし、そう小さく呟く。





ーーしかし、私は最悪な事態に巻き込まれてしまう。
それは、この時の私には知るよしも無かった。



〜ゼロの執行人編 完〜

忍び寄る影は大胆不敵に→←ゼロの執行人編 大人は私情を持ち込みがち



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設定タグ:名探偵コナン , 安室透/降谷零 , 東亰ザナドゥ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年7月19日 0時

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