追憶の住人2 ページ17
いつの間にか眠っていたらしく、私は誰かに膝枕されていた。
微睡んだままの視界には、泣きそうなくらい晴れ渡った空と頭を撫でる誰か。
『………だれ?』
「あ、起きた?おはよう。」
野太い男性の声が掛かり、私は起き上がった。
そこには、優しい表情を浮かべた優男系な男の人いた。
『…荻原研二刑事?』
荻「そうだよ。降谷ちゃんがお世話になってるね。」
荻原さんが私の頭を優しく撫でてくれる。
その仕草から察するに、彼が先ほどまで膝枕をしてくれてたんだろう。
荻「へぇ〜。陣平ちゃんの言ってた通り、俺らの事とか知ってるんだ?」
『…はい。』
荻原さんの何かを見透かすような視線から逃げるように逸らして頷く。
すると、唐突に荻原さんが私の手の甲に唇を寄せた。
荻「君は出来損ないなんかじゃないよ。」
真剣な顔で告げられ、私は息を止めた。
荻原さんは切られた私の毛先を一房掬い、労しげに見つめる。
『………ありがとう、ございます。』
荻「俺らは君と降谷ちゃんをずっと見守ってきたんだ、何も知らない連中には好き勝手に言わせない。」
心強い断言に、私は鼻の奥がツンと痛んだ。
私は何度も頷くと、荻原さんが優しく抱き締めてくれる。
荻「って言うかさぁ?陣平ちゃんもズルいよね〜。折角レムちゃんが連れてきてくれたのに、さっさと自分だけ抜け駆けしてさぁ〜。」
『私は皆さんにお会い出来て嬉しいですよ。そう言えば、降谷さんとはいつからのご友人なんですか?』
荻「警察学校からだよ。あ!降谷ちゃんの話、聞きたい??」
『差し支えなければ、お願いします!』
それから荻原さんは楽しそうに降谷さんとの思い出話を聞かせてくれた。
中には、今の彼しか知らない人からしたら意外な印象やギャップを感じる話もあった。
………本当に、安心するなぁ。
強張った神経が、ゆっくりと解されるようだ。
私は荻原さんの肩に凭れ掛かり、再び目を閉じた。
〜NOside〜
荻「ねぇ?Aちゃんもそう思っ……あらら。」
荻原は再び眠りの園に旅立った少女を優しく見つめ、苦笑した。
少女の顔は先ほどより安らかだ。
途端に荻原の姿は光の粒子に変わっていく。
荻「Aちゃん、大丈夫だから。」
荻「降谷ちゃんは………降谷は、君を必ず助けに来るからね。」
そう呟いた荻原に、眠る少女の頬は花のように綻んだ。
〜NOside終了〜
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年7月19日 0時