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恩師との誓いは違えずに ページ13

じい様はそんな苦しげな私の髪を掴んだ。

クズ造「良かったな、出来損ない。貴様のような醜女でも、ワシらの役に立つ日が来た。」

『わた……しに、なに、させる…気?』

じい様は私の質問には答えず、顎で指示する。
途端に女どもが私を無理矢理立たせてどこかに連れていく。




連れて行かれた先は着物が掛けられた衣装室。
女たちはせせら笑い、抵抗出来ない私を押して畳の上に転ばせた。
奴らに背中を向けるように倒れてしまい、背中に馬乗りになってくる。
勿論ジタバタと抵抗するが、簡単に押さえ付けられた。

『重いっての!降りろクソ豚!!』

モブ3「はいはーい。あんま生意気言ってると、髪以外の所切るよ〜?」

『はぁ!?なんで髪なんか切る必要が!?つか離せ!』

しかし私の質問には答える代わりに、うなじに冷たい金属が当てられた。
熟年の勘でソレが刃物なのは容易に想像出来た。

モブ5「ねぇ?相手の男が送ってきたヤツだと、こんぐらいじゃない?」

モブ3「りょ〜かい!」

『止めろッ!!』

瞬間、耳元でザリザリと音が突き刺さった。
はらはらと見慣れた漆黒が畳に落ちていく。
それは花びらのように舞い、いつか聞いた降谷さんの言葉が蘇った。

【こらこら。折角の綺麗な黒髪なんですから、そんなに無下にしてはダメですよ。】

あの時の、彼の苦笑が浮かんだ。
大切な想い出を穢されたように感じ、何かが切れる音が遠くで聞こえる。

『…としてやる。』

モブ3「え?なに?きっこえなーい。」

『お前ら全員ッ!地獄に突き堕としてやるッ!!』

今、初めて焦げ付くばかりの憎しみを覚えた。
一瞬怯んだ女を背中から落とし、私は縛られたままの手を力ずくで解く。
そして恐怖に歪んだ女の胸ぐらを掴んで、拳をキツく握り締めて振り上げる。

モブ3「キャァァァ!!」

モブ5「だ、誰かぁ!!来て!!」

しかし、憎しみ囚われた私を止めたのは思いもよらない人物の言葉だった。

それは九重師匠達に拾われて日も浅い時の事。
喧嘩に明け暮れてトワさんに怪我の手当てを施されていた時、師匠は凛とした眼差しで私に言った。

【A。お前のその拳は下らない者達を痛め付ける為にあるんじゃない、心から守りたいと祈る誰かを救う為だ。お前にはその資格も力もあるじゃろう。】

『ッ……!!』

殴る寸前、そんな師匠の言葉が蘇って私は直前で止めた。
叫び声に駆け付けた奴らに罵られるより、師匠の言葉を踏みにじり掛けた自分が許せなかった。

拐われた想い人〜降谷side〜→←悪意はスローステップ



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設定タグ:名探偵コナン , 安室透/降谷零 , 東亰ザナドゥ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:四條暁 | 作成日時:2020年7月19日 0時

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