最強メンタルの最高傑作な紅一点【雪男】（27）

喧嘩するほど ページ45

渡辺side

ドラマの撮影に行くとAがいた。


渡「何してんの」
『見学〜。差し入れにキッチンカー入れたから』
渡「え、マジ？どこ？」
『あっこ』


Aが指差す方に目を向けると何台もキッチンカーが並んでて祭りの屋台みたいになっとる。


渡「何があんの？」
『コーヒー、クレープ、パン・ドーナツ、ラーメン、唐揚げ、たこ焼き、寿司』
渡「多くね？」
『色々選べた方がいいと思って』
渡「にしてもだろ…」


撮影現場なのにマジで祭り感がすごくてキャストも共演者も自分の好きなキッチンカーに並んで差し入れを満喫してる。


渡「んで、お前何食ってんの？」
『そこの明太フランス』
渡「俺の知ってるサイズじゃないんだけど」
『フランスパンで作ってる特製』
渡「キッチンカーもしかしなくても」
『みゆらぶってどこにでもおんねんで。おかげで料金割引されてありがてぇ』
渡「みゆなら無料かと思ったわ」
『払わせてくれってお願い頑張った』
渡「無料だったんかい」


さすがと言うか…最早狂気だな。代金支払うのにお願いしないとダメとか意味わからん。
好かれ具合が尋常じゃないのも今更だけど改めて目の当たりにするとドン引くレベルだなマジで。



撮影が始まるとAは大人しく見学してるけどアイツ見るたびに食べてる食いもん変わってて誰よりも差し入れのキッチンカー堪能してやがる。

正直、Aに芝居を見られるのは緊張する。
いつもふざけてるけど芝居に関してはマジで上手いとかのレベルじゃない。本職の役者にも負けないどころか上回ってると言ってもいいくらいだと思う。

そんな奴に見られるのは何回経験しても慣れない。
厳しい教師の授業受ける時のような緊張感がある。



「カット！確認しまーす！」


芝居中の緊張感が解けて脱力する。Aの方に目を向けるとラーメン丼持ちながらコッチをガン見してくる。やめろラーメンすするな。食いたくなる。


渡「…何？」


あまりの視線に俺の芝居が変だったのかと思って恐る恐るAに問いかけると


『いや…制服キッツイなぁwww』
渡「うるさいw」


真顔で人の制服姿のダメ出し。
お前だって未だにＪＫやる癖にとか言ったらぶん殴られそうだから言わねぇけど。


『写真撮ってい？』
渡「撮りながら言うなよ。いいけど」
『イタタおじさんでーすwww』
渡「似合ってるからいいんですー仕事だし」
『まぁ…イタタ言うけど』
渡「言ってんのお前な」
『頑張れば現役って見えん事もないよな。流石美肌』

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す