最強メンタルの最高傑作な紅一点【雪男】（27）

優しい人 ページ26

ラウールside

ジャニーズ事務所に入って数ヶ月。少しずつだけどレッスンとかにも慣れてきて空気感っていうのも何となくわかってきた。

そんな中今日は特別講師としてあの深雪さんがレッスンに来てくれた。オーディション以来初めて会うな…。


『よろしくお願いします！』
【よろしくお願いします！】


特別講師と言ってもやる事はいつものレッスンと変わらないみたいで踊ってのをみてアドバイスをくれるのがいつもの先生か深雪さんかって違い以外何ら変わらない。
それ以外に変わったのは先輩達の雰囲気？いつもはもっと集中してる気がするけど今日は何だか集中力が無いというか…怠けてる様な感じがする。


『そこ。なぁなぁでやってるんやったら後ろ下がれ。てかもういらんから帰れ。邪魔』
「は？」
「いや、なぁなぁでやってないですけどw」
「すみませーんw集中しまーすw！」
『いや、もういらんから帰れ。帰りたくないなら後ろにおれ。邪魔やねん』


重過ぎる空気に先輩達よりもう僕が逃げ出したい。今までの講師の人達も怖かった人が多かったけど深雪さんは何だかレベルが違う。
他の講師の人は大きい声で怒鳴り気味な注意の仕方だけど深雪さんは静かに淡々と怒るんじゃなくて「いらない」とそれだけを言って何事も無かったかの様にレッスンを開始した。

「いらない」と言った先輩達がいないかの様に。




『はい。休憩！』


さっきの空気感も相まっていつもよりかなり疲れた。
ちなみにさっき「いらない」と言われた先輩達は不服そうにはしてたけど後ろに行ってレッスンを受けててちゃんとまだいる。


「マジムカつくわぁ…」
「今更深雪さんが女ってだけで仕事貰ってるとかは流石に思わねぇけどもうちょい優しくしてくれても良くね？」
「それなwちょっとは◯◯君とか見習ってほしいw」
「分かる！◯◯君超優しいもん！」
『悪かったな優しくなくて』
「「「！？」」」
『てかまだおってんな。帰って良かったのに…ま、居るって事なら一応やる気はあるんやろ？休憩終わったら元の位置でやりや』


よく自分の事良く言ってない会話に割って入っていけるな…。僕なら絶対に無理。

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