龍斗 ページ10
｢夢ってなんだろう｣
まだ誰にも言ってないけど、実は入院する前まで医者になりたいって思ってた。
小学生の頃は勉強も出来たし人の役に立つことが好きだった。
でも今は………
人にお世話されてるし、院内学級だけで医者になれるとも思えない。
自分もいつになったらここから出れるのかわかんないし。
今日の院内学級で、【夢】というテーマの作文を書く宿題が出された。
他の子は何を書くんだろう。
俺の夢はいったい何なんだろう。
翔希｢りゅーとー｣
｢あ、もろ。｣
翔希｢こら、先生つけろw検査、明日していい？｣
｢えー。って言ってもやるんでしょ？｣
翔希｢うん、まぁね｣
｢りょー。｣
翔希｢龍斗どした？なんか悩みでもあんの？体調悪い？｣
｢え、いや、元気だけど。｣
翔希｢そか。なんかあれば言えよ〜。じゃあまた来る。｣
入院してから、医者という職業がとても近くにいる。
だからかな、なりたい気持ちはだんだん強くなるばかり。
俺の主治医のモロ(先生)も、いつもヘラヘラしてるけどいざという時はかっこいい。
原稿用紙を机に出した。
そこには
【夢 作間龍斗】
とだけ書いてある。
((ガラガラ))
辰哉｢龍斗、何悩んでんのー？｣
｢なんでいんの？｣
辰哉｢モロに言われた。ん？夢？夢ねぇ〜。俺の夢はね〜｣
｢いやいやww聞いてないし。｣
辰哉｢良いじゃんw龍斗の夢は？｣
｢夢なんて持ってもいいのかな…｣
辰哉｢良いでしょ。そんなの、自由だよ。なんかあるの？｣
｢俺、医者になりたい。院内学級だけでなれるとは思えないけど。｣
辰哉｢良いじゃん！かっけー！じゃあ頑張って治さなきゃだな〜｣
｢うん。ねぇ、なんか問題集、ここでやっててもいい？｣
辰哉｢体調良くて、先生の許可がおりたらね。頑張れよ〜｣
テンションが高いまま病室を出ていったふっか。
なんか気付いたら喋ってしまっていたけど、ここで自分なりに頑張れるところまで頑張ろう、そう思えた。
【僕の夢は医者になる事です。】
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作者名：H@N@ | 作成日時：2018年9月9日 7時
