最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ50)

今日:27 hit、昨日:8 hit、合計:303,733 hit

・ページ50

Side of Hidaka

昼休憩、楽しみにしてたんだけどな…。
あんなに張り切っていたのに、一気に気分が沈んで。
お母さんが作ってくれたおにぎりは、全然味がしない。

「はぁ…」
ため息を零すと、お母さんが何かを思い出したような顔をする。
「これ、Aちゃんから」
わざわざ届けに来てくれたのよ
お母さんから紙袋を受け取る。
箱を取り出し、開けると、
中には、美味しそうなチョコタルトが入っていた。
「これ……！」
今年のバレンタインデーに、Aが作ってくれたものだ。
また食べたい、って言ったの、覚えててくれたんだ…。

一口かじると、あの日のことが蘇る。
頬をピンクに染めたAが、「義理だから！」と叫んでいた。
もらえるなんて思ってなかったから、人生で一番と言っていいほどの間抜け面だったはず。

ああ、早く会いたいな。

・・・
チームとしては負けちゃったけど、
100ｍ走も障害物競走も、一位になれたし。
帰ったら、電話しようかな…。仕事、終わってるかな？

「ただいまー」
玄関に、お母さんのでも妹のでもない、女の人の靴。

リビングに入ると、
「お疲れ様」
ソファーに座る、Aがいた。
「A！」
汗かいたり、砂で汚れたりしてることを忘れて飛びつくと、わしゃわしゃと頭を撫でられる。

「ほんとにごめんね！」
「ううん、いいの。
それより、タルトありがとう！美味しかったー」
そう言えば、恥ずかしそうに微笑んだ。
うぅ…可愛い。大好き。

「お詫びというのはあれだけど…今度、遊びに行こ？」
「ほんと!?二人で？」
「うん」
わーい！デートだ！
そう思っているのは俺だけだから、絶対口にはしないけど。
小さくガッツポーズ。
Aからのお誘いなんて、ほんとにレアだもん。
見に来てもらえなかったのは残念だけど、これはこれでよかったかも…！

＊11月6日で、活動5周年を迎えました。
ここまで支えてくださった皆様、ありがとうございます。
6年目も、マイペースに頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

＊お話がいっぱいになったので、近いうちに続編へ移行します

＊「愛のピーチティー」を全体公開したので、よかったら読んでみてください

2018/11/18追記
最愛シンメトリーⅡ公開しました！
これからもよろしくお願いします！