最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ41)

今日:30 hit、昨日:8 hit、合計:303,736 hit

甘えてほしいページ41

Side of Hidaka

「瑞稀？」
「みーじゅっ！」
「みじゅきくーん」
「ずっこん！」

瑞稀くんの周りをうろちょろしながら、いろいろな呼び方で瑞稀くんの気を引こうとするA。
ひたすら無視し続ける瑞稀くんだけど、口元が緩んでる。
絶対わざとだ。
……俺も、そんな風に甘えてもらいたい。

「みじゅ、聞いてる？」
「何」
「ご飯奢って」
普段「奢って」なんて言わないA。
瑞稀くんには、そんなことも言うんだ…。

「俺今日さくちゃんと行くから」
「連れてってよ！」
「他の人に頼んで」
ちらっ、と俺を見る瑞稀くん。
Aは、俺の所には来ないよ。
いつも瑞稀くんに断られたら、金指くんや龍我を誘うんだもん。
今日だって、そうだと思ってたのに。

「ひぃ…」
俺のシャツをくいっと引っ張って、目で訴えかけてくるA。
「……ご飯、食べに行こ？」
首を傾げて言われたら、断れない。
俺を見上げるAが可愛くて、ドキドキする。
…そのまま、抱きつきたいな。

「ひぃ？」
「い、行こっか」
伸ばした手は、Aの頭まで持っていって、
軽く頭を撫でる。

最近、″年上の余裕″というものに憧れて、
年下だけど、余裕はあるって所を見せようと頑張ってる。
Aは年上が好きらしいけど、それってそういうことだよね。

「ひぃの好きな所連れてって」
「わかった」
普段、誰かいる時は「ひぃ」って呼ばないのに。
甘えてくれてる、って思ってもいいのかな？

「続き、頑張ろうね」
練習に戻ろうとするA。
まだまだ余裕なんてなくて。
「うわっ…何？」
その背中に、思い切り抱きついた。

「補給」
「何それ」
いつもなら、冷たくあしらわれるけど、今日は機嫌がいいみたいで、
されるがままのA。
調子に乗った俺は、頬に一瞬、口付けた。
「もー、勝手にキスしないで」
わしゃわしゃと雑に撫でられた頭。
突然、優しくなるのはやめてほしい。
脈がないのはわかってるけど、
ちょっとだけ、期待しちゃうんだから。