最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ34)

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うきしょ先生ページ34

「んー、わからん!!」
消しゴムを壁に投げつけた。
「こら、お行儀が悪い！」
すかさずなぁくんに頭を叩かれる。
「だってこんなのわかるわけないもん!!」
英語が並んだ問題集に、シャープペンを突き刺すと、
ポキッと音を立てて、芯が呆気なく折れた。
「もー、もったいない！」
「なぁくんなんか牛になってしまえ!!」
「なんてこと言うの!?」
ぎゃーぎゃー言い合う。
この数分、無駄にしてる気がする…。

「何なに？」
「ちょ、潰れる!!」
なぁくんの肩に手を置き、話に入ってきたのは、
部屋の隅で一世とじゃれていたはずの飛貴。
「もー、身長縮んじゃうじゃん!!」
「藤井くんには聞いてない」
どいてどいて、となぁくんを押し、
私の隣に座る。
「英語わかんないの？」
「……苦手なの知ってるでしょ」
「そんな怖い顔しないでよ」
突き刺した跡を消しゴムで綺麗に消し、私にシャープペンを持たせると、
ペンケースからもう一本シャープペンを出し、問題集を眺めだした。

時々、「へー」とか「ふーん」とか言ってる。
意味のわからない私は、スマホに手を伸ばした。
「A………A？」
電源を入れたところで、スマホを取り上げられる。
「返して」
「駄目。ほら、これ面白いこと言ってるよ」
そう言って、内容を説明してくれた。

「ここは？」
「過去完了形だから…」
わかる？と飛貴は私の顔を覗き込む。
「……うん」
「何その間」
苦笑いを浮かべ、丁寧に教えてくれる。

・

「終わったー!!」
「お疲れ様」
ポンポンと頭を撫でてくれる飛貴に、
「ありがとう」
と言うと、口角が上がった。

「Aちゃん」
悪い顔にちゃん付け。何企んでるんだろう。
「お礼は、ちゅーがいいな！」
……やっぱりか。薄々気づいていたけど。
「嫌だ…なぁ」
期待の眼差しを向ける飛貴の肩に手を置いて、
ちゅっ、と頬に口付ける。
「へっ…？」
途端に赤くなる頬。
…そんな反応されたら、こっちまで照れちゃうじゃん。
「りゅーがちゃーん！」
急いで机の上を片付けて、龍我に抱きついた。

「そんなの反則だから…」
そんな声は聞こえないことにして。