最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ28)

今日:8 hit、昨日:8 hit、合計:303,714 hit

これが嫉妬ページ28

『ジャニーズJr.の、浮所飛貴くんが大好きなんです！』

朝、何気なく点けたテレビから、そんな声が聞こえた。
慌てて振り向くと、見飽きた顔。

河井いちご。最近話題のモデルだ。
キラキラした名前は本名らしい。
可愛い顔に華奢な体。
雪のように白い肌と、栗色の髪。
お揃いの目には、長い睫毛がカールしている。

これは、飛貴も大喜びだ。

・

「あ、Aちゃんおはよー!!」
レッスン室に入ると、いつも通り飛貴が飛びついてくる。
おはよ、と挨拶を返し、背中を軽く叩くと、
だらしない顔になる。
ちぎれんばかりに揺れる尻尾が見えるなんて、相当疲れてるんだろうな。

「退いて」
飛貴を引き剥がし、荷物を置くと、
後ろをついてきた彼がぴったりとくっついてくる。
「何よ」
「んー、Aちゃん大好きだなって」
そんな笑顔で言っても、何もあげないよ。

かまってオーラを無視して、じゃれ合うたいりゅのもとへ行くと、
「Aちゃんも！」
とじゃれ合いに参加させられた。

しばらく三人で騒いでいると、
そういえば、となぁくんが口を開く。
「今朝テレビで、河井いちごが、浮所のことが好き、って言ってたよ」
……そんなことあったな…。
一気に気分が沈む。
理由はわからないけど、なんだか胸が痛む。

「Aちゃん？」
心配そうに顔を覗き込むたいしょーちゃん。
龍我は、いちごちゃん可愛いよね、と飛貴を肘でつつく。

「そんなこと言われても…俺にはAがいるから」
ねー、と私の顔を見て笑う飛貴に、
「河井さんはお前のファンってだけだからな」
と雄登が言った。
「わかってるよ！」
「Aもお前のじゃないし」
「うっ…それもそうなんだけど……」
なんて会話を聞きながら、
今頃Twitterで騒がれてるだろうな、と考える。
あの言い方じゃ、そう勘違いする人も少なくないだろうし。

………なんか、嫌だ。