最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ20)

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頼りになるページ20

朝から少しぼーっとするとは思っていたけど。
暑いから、と特に気にすることもなかった。
昨日も遅くまで撮影だったし、あまり眠れていなかったのも原因の一つだろう。

「大好きー！」
いつも通り抱きついてきた飛貴をあしらう力がもったいなくて、そのままにしておく。
「……大丈夫？」
そう言って離された体。
飛貴は、心配そうに私を見つめる。

「大丈夫じゃないかも…」
恋しくなって、珍しく自分から抱きついた。
飛貴の香りを胸いっぱいに吸い込むと、安心する。
ああ…私、熱あるんだろうな。

私の異変に気がついたのか、飛貴が手を引く。
着いた場所は医務室。
ベッドに寝かせられ、おでこに冷えピタを貼られた。
「ちゃんと言えて偉いね」
ゆっくりと頭を撫でられる。

思い出したのは、前に熱が出た時のこと。
あの時は、熱があるとわかっていたけど、
無理矢理練習に参加して、倒れてしまった。
目覚めた時、飛貴に怒られたな…。

今回は、学習したと思う。

優しく撫でられるのが気持ちよくて、
その手に手を伸ばす。
たまには、甘えてもいいかな？
ぎゅっと握って、普段は言わないことを言ってみた。
「ここにいて」
「え…？」
戸惑う飛貴の声が聞こえたけど、すぐに握り返された手に、
了承してくれたと勝手に解釈する。

重い瞼が勝手に閉じると、意識が遠のいた。

・

「おはよ」
ゆっくりと目を開けると、飛貴の声がした。
「少しはよくなったかな？」
「うん…ありがとう」
いいえ、と微笑むと、手をそっと離し、水を持ってきてくれる。
「練習は参加しないで。俺に任せてよ」
ここで反抗しても、絶対部屋から出してもらえないだろうし。
頷いて、もう一度目を閉じる。
「家まで送るから、終わるまで待っててね」
ぼんやりとした意識に、そんな声と、
頬に柔らかい感触が届いた。

飛貴って、意外と頼りがいがあるな…。