最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ46)

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そわそわページ46

Side of Mizuki

集合時刻より一時間も前に、レッスン室に着いた。
目覚めるのが早すぎて、やることがなかったからなんだけど。

ドアを開けると、
部屋の中を歩き回るAの姿が。
既に着替え終わってる。
早すぎだろ。

「おはよ」
「あ、瑞稀。おはよ」
声をかければ、すぐに寄ってくる。
なんとなく行動が読めて、腕を広げれば、
思い切り飛びついてきた。
「早いね」
「リーダーだからね！」
得意げにそう言った。

Aの行動パターンは把握済み。
朝が苦手なAが、こんなに早起きなのはありえない。
これはきっと……。
「オーディション？」
目を見開いたAに、やっぱりかと苦笑い。
緊張して、落ち着かないんだろう。

「ほんとはレッスン休むつもりだったんだけど…。
どうしても皆の顔を見て、安心したくて」
話題の女優も参加するほど、大きな役らしい。
半泣きのAを抱く腕に力を込める。

中学卒業まで、有名な劇団にいたA。
その演技力は凄まじいもので。
その点に関しては、他の女優にも負けていない。
…これは、ほとんどの人が知らない情報なんだけどね。

「落ち着いて、Aの演技を見せたらいいんだよ。
他の人なんて関係ない。Aらしく、ね」
「うん…ありがとう」
俺の胸から顔を離したAが、見上げて言った。
「よし！頑張ってくる!!」
「いってらっしゃい」
「受かったら、ご飯連れて行って！」
なんて、楽しそうに言うAに、微笑む。

こう見えて俺も、結構不安なんだけどね。
妹のように可愛がってるこのオーディションだよ？緊張しないほうが可笑しくない!?
というのは胸の奥にしまい込んで、平静を装う。
俺が焦ってると、もっとAを不安にさせちゃうから。

どうか、上手くいきますように……。

─────
姫島『瑞稀、なんとか終わったよ！』
井上「お疲れ様」
姫島『緊張したけど、瑞稀のおかげでいつも通りの演技ができたの。ありがとう！』
井上「結果、俺にも教えろよ」
姫島『はーい』