最愛シンメトリー【U.Hidaka】 (ページ12)

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うきなすの喧嘩ページ12

「だから、ここはこうだろ！」
「こっちの方が綺麗に見える」
ギャーギャー騒がしいのには慣れたもので、周りは何事もないかのように過ごしている。

只今、うきなすがレッスン室で喧嘩中。
喧嘩くらいいつものことだし、二人ともパフォーマンスをよくしたいという思いがあるから、止めないんだけど。
今日は、いつもと少し違った。

「いつも自分が正しいみたいに言うんじゃねえよ！」
「自分の意見ばっか押し付けてるのはお前だろ！」
飛貴が、雄登の胸ぐらを掴んだ。
小柄な雄登は、今の状況も合わせると、どう見ても劣勢で。
「やめて」
仕方なく、止めに入った。

飛貴から雄登を引き剥がし、後ろに隠す。
「喧嘩はいいけど、手は出しちゃ駄目だよ」

見上げると、苦しそうな顔をする飛貴。
「……なんで、那須ばっか庇うの？」
「別に雄登ばっか庇ってるわけじゃ…」
「いつもそうじゃん！俺が悪いみたいな言い方して！」
飛貴の怒声に、何事かと皆がこちらを見る。

「……そんなに、俺のことが嫌いなんだ…」
震えた声でそう言うと、飛貴は部屋を飛び出した。

しばらく待っていたけど、一向に帰ってこない。
どこ行ったんだろう…。

雄登ばかり庇ってるつもりはなかったし、飛貴が嫌いというわけではない。
けど、飛貴からすると、そういう風に見えたのかもしれない。

どうするべきか、頭を抱える私に、
「ごめん…」
雄登が言った。
「雄登は悪くないよ」
「でも…」
雄登が何か言いかけた時、ドアが開く音がした。

「A……ごめんなさい」
冷静になって考えたら、俺が悪かった
頭を下げる飛貴。
「もういいよ。私もごめんね」
飛貴の頭を撫でる。
「那須、ごめん」
「俺もごめん」
仲直りをした二人に抱きついた。
「よし、一緒に練習しよっか！」

─────
数日後。
浮所「だから、ここはこっちの方がいいよ！」
那須「いや、俺はこっちの方がいいと思う」
姫島 (またか……)
浮所「……じゃあ、試してみよっか」
姫島 (お、成長したじゃん！)