最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ5)

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Side of Hidaka

「わぁ……！」

身を乗り出したAの腕を、慌てて掴む。

ここは、京都・清水寺。
テレビや雑誌でよく見る、秋の清水の舞台。
ずっと憧れてた。
好きな子と来てるんだ…。なんて幸せなんだろう。

本格的なお高いカメラで、景色を撮るA。
風景を撮るのが好きなんだって。
前にメンバーと海へ行った時、教えてくれた。

「ひぃ」
カシャッと音がした。
カメラを下ろし、悪戯な笑みを浮かべた。
「ちょっと…」
「よく撮れてる！」
どうせ撮るならもっとキメたかったのに。
……Aが俺にカメラを向けたことなんて片手で数える程度だったから、嬉しかったけど。

「あっちも行こ！」
当たり前のように俺の手を握って、歩きだした。

変装しているとは言え、いつバレるかわからない。
俺はともかく、知名度の高いAは見つかったら大変なことになるだろう。
バレなかったとしても、
カップルに見られていいのかな…なんて。

「ひぃ？大丈夫？」
Aが、不安そうに俺の顔を覗く。
「幸せだなーって思ってた」
「ならいいんだけど」
頬をほんのりと桃色に染めて微笑む。
誰にも取られたくないな、という思いを込めて、
少しだけ、手を握る力を強めた。

・

旅館の部屋で星を眺めるA。
そんな彼女の横顔を見つめ、そっとため息を零した。
儚げな表情と、色っぽい仕草に、
俺の胸は忙しなく動く。

「やっぱり、飛貴といると楽しいな」
微かに聞こえたその言葉に、全身が熱くなる。

抱きしめたいという欲を、
彼女の手を握ることで我慢。

いつか、そんな日が来ることを、
夜空を駆ける流れ星に願った。