最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ4)

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お泊まりデート!? ページ4

Side of Hidaka

「お泊まりデート……」

突然、『京都に行きたい！』と言い出したA。
仕事も学校も休みの日を見つけたため、「紅葉を見に行く」という口実で誘うつもりだったんだけど……。

「やっぱり、日帰りじゃあ何も楽しめないか」
調べれば調べるほど、その周辺のおすすめの旅館が出てくる。
付き合ってもないのに、遠出で、しかもお泊まりなんて…重くない？

どうしよう……連れて行ってあげたいけど、日帰りでもいいかな…。
ああでも、温泉入りたい！って言ってた気もするし…。
いや、温泉入るだけでもいいよね。別に泊まらなくても温泉だけ入れる所あるだろうし。

一応、泊まれそうな旅館のスクショをして、Aとのトーク画面を開く。

飛貴もしよかったら、今度の休みに京都に行かない?
飛貴約束してた、紅葉見に行きたいなって

すぐに返ってきた。

A行く!

大喜びの柴犬のスタンプと共に。
可愛いな…、なんて画面の前でニヤニヤ。

どこに行きたいか聞こうと思っていた時、送られてきた「お泊まり？」というメッセージ。

お泊まり、か………したいなぁ。

どう切り出そうか迷っていると、
「うわぁっ！」
突然鳴ったスマホに驚いた。
Aから電話なんて珍しくて、心臓がバクバクしてる。

『もしもーし』
「ど、どうしたの？」
『いや、その……
次の日も休みだし、…お泊まり、したいなって』
突然そんなこと言うのはずるいよ！
胸がぎゅっと締め付けられる。
俺とでいいのかな…
なんて、いつもみたいにガツガツいけない。

『飛貴？』
「あ………いいの？」
『だって、日帰りなんてもったいないじゃん』
それはそうなんだけどさ。

Aって、危機感がないと言うか。
自分のことが好きな相手と、一夜を過ごすんだよ？
…いや、下心があるわけじゃないんだけど。

「……よさそうな所、後で画像送る」
『ありがとう！』
ご機嫌なAは、おやすみ！と言って通話を切った。

スマホを握ったまま、ベッドに寝転ぶ。
まだドキドキしている心臓。
こんなんじゃ当日、もたないよ…。