最愛シンメトリーII【U.Hidaka】 (ページ3)

今日:7 hit、昨日:20 hit、合計:71,605 hit

お祝いはページ3

前作の『そわそわ』の続きです。

─────
「みーずき！」
今日の私は、機嫌がいい。
何故かって？それはね……

「じゃーん！合格しました!!」
この前あったオーディションに、合格したから。
まさか合格するなんて思ってなかったから、ほんとに嬉しくて……。
「目、腫れてるけど…泣いた？」
「うん」
昨日の夜、通知が来て。
泣きながら寝落ちしてしまった。
幸い今日はレッスンだけだから、よかったけど。

「おめでとう。お祝いしないとね」
「わーい！」
ちょっとだけ、贅沢しよっか
その言葉と共に向けられたスマホの画面には、
子どもだけではなかなか入れないようなお店のホームページ。
「ほんとに？」
「頑張ったからな」
ぽんぽんと頭を撫でるその手は、とても温かい。

「いつにする？」
「Aの行きたい時」
「今日」
「今日!?」
柔らかく笑って、急だな、って。
無理を言ったけど、連れて行ってくれる瑞稀が大好きだ。

「レッスン終わったら、待ってて」
「はーい！」
もう一度頭を撫でると、お互い頑張ろうな、と言って準備を始めた。

実はあの日、瑞稀が私以上に不安がっていたことに気がついていた。
そこまで想ってくれる人がいることが嬉しい。

困っていたら助けてくれて、悩んでいたら話を聞いてくれる。
嬉しい時は一緒に喜んでくれて、悲しい時は一緒に泣いてくれる。
ここに入って、素敵な人に出会えて、ほんとによかったと、心から思ってる。

きっとこれからも、大変なことがたくさんあるだろうけど、
皆がいるから、大丈夫だなって思えるんだ。