憧憬 2 (ページ9)

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Abe side

頭を鈍器で打たれたような衝撃を受けた。

上演時間は他校と比べて短かった。
でも、その短時間で

俺は俺たちは

会場内の観客全員

佐久間大介の虜になったんだ。

独りで舞台に立って
舞って
思いの丈を叫んで

とんでもないモノを見てしまったような。

あっという間に舞台に緞帳が下りてきて
幕間に

演出兼キャストの佐久間さんが出てきた。

「それでは、演出とキャストさんの準備が整ったようなので登場して頂きます。」

「それでは、お疲れ様でした。
まずは、演出さんによる裏方の紹介をお願いします。」

佐「はい！
脚本、演出、舞台監督、照明、小道具、衣装
２年佐久間大介！ありがとうございました！」

舞台終了直後でも、とんでもない声量
しかも、全部自分１人で

「続いて、キャストの紹介をお願いします。」

佐「はい！俺役２年佐久間大介！ありがとうございました！」

「以上で、紹介を終わります。続いて、客席からの質問の時間とさせて頂きます。」

客席からは沢山の質問が

時間の都合上、３人ぐらいしか聞けなかったけども

もうなんか、余韻がすごい。

「D高校さん、上演お疲れ様でした。」

佐「ありがとうございました。」

「えっと、脚本についても質問なのですが、
　これは、ご本人について書かれたものなのでしょうか。」

佐「はい！この脚本自体、僕自身が開いたものでして
　俺って登場人物も僕、佐久間大介です。
　なんせ、部員が２人で。
しかも、その１人が兼任先の部活のエース的な感じでして。
じゃ、１人芝居なら好きにやっちゃおうと思って
って感じで、自分自身を見直したいし、過去の自分へのメッセージと
未来の自分へのメッセージを入れて表現しました。」

「あ、そうなんですね。すごく、ダンスに魅了されました。
D高校さんお疲れ様でした。」

佐「ありがとうございました！」

「続きまして」

正直、この後の事は覚えていない。

その日の帰り道

会場のロビーで先輩と少し話をして帰ろうとしていた時、

「あれっ？阿部ちゃん？」