憧憬 2 (ページ23)

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Abe side

阿「今日、この後は？」

佐「実は、明日も午前休み～」

阿「勝ち組じゃん」

佐「店長がね、働きすぎって」

阿「佐久間らしいね」

佐「つい、嫁と一緒に働けるとなるとね」

阿「実は、俺も休みでして」

佐「ってことは今夜はウィッグ制作パーリナイ」

阿「そうなるね。時間もそんなにないし」

晩

佐久間と解散して
駅からそこまで遠くない駅で下車。

最寄り駅から、スーパーへ。
惣菜コーナーで適当に買って帰宅。

手洗いうがい
買った晩御飯を食べて
歯を磨いて
今日買ったばかりのウィッグの袋を開く。

寂しい一人暮らしの部屋の中央

仕事の資料やら、道具やらで埋められた机。
端へ端へとそれらを追いやり
何もなくなった机にヘッドマネキンにセット。

パソコンに電源を入れ、ウィッグ制作のために
資料となるキャラクターの画像を印刷。

ヘッドマネキンの右斜め前の壁に貼り付ける。

洗面台の棚からヘアアイロンを取り出し、
再び机へ

電源を入れ
温めきるまでの間

引き出しからウィッグ用のカットセットを取り出す。

ブラシで髪を整え
ダッカールでブロッキング。

温めきったところで
少しずつ毛束を取って
癖のついたウィッグを真っすぐにする。

この作業、結構きつい。

少し疲れが出てきたところで
昔から勉強のお供だったラムネを食べる。

かりっとした触感に甘酸っぱい味。

阿「染みる～」

その時、電話が鳴った。

阿「あ、やっぱり」