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Abe side
女の子に産まれたかった訳じゃない。
でも、女の子の着ている服が羨ましかった。
白いレースに、ふわふわなスカート。
大きなリボンに可愛らしい鞄。
かかとの上がった靴。
男として産まれ、男の子として育った俺には
一生着れないものだと思っていた。
でも、俺もあの服が着たい。
小さいながらに抱えた願望。
それが、１０年して
ショートカットで胸元には赤いリボン。
膝より少し短い丈のスカート。
長めの靴下にキーホルダーがじゃらじゃらついた鞄。
これを衣装として着れたことが忘れられない。
阿「確か…。」
教科書に参考書、辞書、問題集がびっしりと詰められた本棚に
余分なものは一切置かれていない机。
緑が基調とされた俺の自室の端。
クローゼットの中に深く入れ込んだ
あの時の衣装。
阿「あった。」
少し、皴が付いていたけど
あの時のままで見つけた。
その時、俺の携帯に着信が入った。
佐久間からだった。
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作者名：内海おこげ | 作成日時：2021年2月16日 2時
