兄貴肌と色眼鏡とお迎え ページ3
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━《カクチョー、迎えに来て》
電話を出て早々に聞こえた言葉がそれだった。
余りの苛立ちに眉間を押さえる鶴蝶。
「A、俺はお前の足じゃねえ」
━《場所はいつもの居酒屋に横付けしておいて》
「おい、聞いてんのか!今日という今日は絶対行かねえからな!」
流れるように切れた携帯の画面をしばらく睨む。
通話時間は5分にも満たなかった。
鶴蝶の怒号は部屋中に響いており、部屋にいた一部のメンバーは我関せずといった様子で仕事に励む。
すると額に青筋を浮かべたまま、深いため息を吐けば無言でジャケットを羽織る鶴蝶。
「お前…」
「何も言うな、九井」
「あー…、なんつーかご愁傷様だわ」
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言われた場所に到着し、待つこと1時間。
待てども待てども呼んだ本人は来ない。
さすがに痺れを切らした鶴蝶がAに電話を掛けると、聞こえたのは息を荒らげたAの声と銃声だった。
━《カクちゃん!もういつものところ居る?!》
「は?お前の周りうるさ……おい、まさか」
━《そのまさか!サツに見つかった!》
そして電話越しに聞こえる怒号はAを追う警察のものだった。
話を聞けばAのよく行く裏カジノにガサ入れが入ったとのこと。
今や指名手配で知らない者は居ないであろう、我らが梵天。
見つかるには容易だった。
━《カクちゃん!窓開けて、窓!》
「は?!なんで窓━…」
『おわあああ!!!』
鶴蝶の言葉を遮りに響いたのはガラスの割れる音。
なんとAは窓を両足で蹴破り、カーアクションさながら滑るようにして助手席に乗り込んで来たのだ。
『鶴蝶!』
「!」
鶴蝶はAの声に反射的にアクセルを踏むと、華麗にハンドルを切る。
「おい、このまま撒くぞ」
『ダイジョーブ』
「は?」
『俺がただ1時間も遅刻するような男だと思うか?』
「思う」
『辛辣』
そういうとエーン、と泣き真似をするA。
頭には窓ガラスが刺さっている。
『まあ、心配すんなって。伊達に1時間も走ってた訳じゃないよ』
彼が言うには電話越しに聞こえた銃声は近くのパトカーのタイヤを狙っていたとのこと。
あいつら今頃狼狽えてるに違いない、とケラケラ笑っていた。
『なぁ、カクチョー。ボスには秘密に...』
「どう考えても無理だろ」
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比嘉槐 - 何回読んでも面白いですwそしてやっぱりイラストが上手い!頑張ってください!!╰(*´︶`*)╯♡ (12月1日 21時) (レス) @page15 id: 0ffcd0578b (このIDを非表示/違反報告)
一尺八寸一犀 - ハァァ…面白すぎん?なんなの?というかイラストうますぎません⁇主人公君好きです…。春ちゃんも可愛いし灰谷兄弟もイイ///これからも頑張ってください!更新楽しみに待ってます!! (8月19日 13時) (レス) @page15 id: 58171344cf (このIDを非表示/違反報告)
774(名無し)(プロフ) - ニャオさん» わたしより上手い人は五万といます…でもそう言って貰えて嬉しいです!ありがとうございます!(´∩ω∩`*) (2021年10月23日 23時) (レス) id: 50213264b4 (このIDを非表示/違反報告)
ニャオ - あぁ、何だただの神絵師か・・・ (2021年10月23日 17時) (レス) @page1 id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
ふじ(プロフ) - はい、ご無理のないペースで頑張って下さい!!楽しみに待ってます!! (2021年10月22日 22時) (レス) id: 7db00b7f42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:774(名無し) | 作成日時:2021年10月16日 0時