二十四:第二章『それぞれの過去』 ページ24
「あ、桜。」
神社の境内の桜花が散り始める
すっかり、春だ。なんて思いながら、神社の本堂を一周。
風にひらひらと舞う花びらは、春らしさ満開で。
みんなで、お花見なんてしたら、楽しそうなんて思う。
だいぶ、この街にも
「.......あれ?」
その時、見つけた良く知ってる茶髪の後ろ姿。
数本ある桜の木の中でも一番幹がしっかりとした、木に
額を押し付けて、しゃがみ込む、その姿は、いつもの明るい笑顔とはかけ離れたものだった。
「.....大晴くん。」
その表情は私からは角度的に見えなかったが、あまり明るいものではなさそうだ。
かすかに、聞こえる彼の嗚咽に、心がぎゅっとなるのがわかった。
声をかけて良いものか、迷う。
どうして泣いてるんだろう。
泣き続ける大晴くんの背中を遠目に見ながら、私はどうしようもなく、彼の力になりたかった。
だけど。
「ほっとけ。毎年のことやから。」
急に背後から聞こえる声にもさすがに驚かなくなってきた。
「誠也さんは知ってるんですか。どうして泣いてるのか。」
「俺らにはどうにもできんわ。あれは、あいつの問題やから。」
少し悔しそうに、苦い顔をした、誠也さんと一緒に、大晴くんの姿が見えないところまで移動する。
「俺は、春好きやけどな。あいつにとっては、春は苦しい思い出しかないねんん。」
「....私に何かできること、あると思いますか。」
「...正直、俺にもわからん。でも、あいつはさ。きっと普段通りに振る舞うから。お前も普段通りに接してやればええと思う。」
さっきまで、明るかった気持ちに少し影が差して
散りゆく桜の花びらたちに、なぜか焦りの感情を覚えた。
大晴くんの涙を止める方法なんて、私には到底思いつかなかった。
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ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです!続きが気になります!最後まで読んでみたいです! (2020年10月15日 20時) (レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます!無理ない程度に更新頑張って下さい!応援してます! (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます! (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます!こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです!!続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます!! (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2020年2月4日 23時