二十一 ページ21
「晶哉！Aちゃん、怪我はない？大丈夫？」
まっさんにそう言われて、手首を見れば、さっきまで掴まれていたところには、くっきりと赤い跡がついていたけど。
「あ、大したことないです。大丈夫。」
「あかんよ！女の子なんやから。その手首冷やさんと。」
「いや、私より佐野君が..。」
相変わらず、目は閉じられたままの佐野くんを見る。
「ちょっと、社務所で休ませたら大丈夫。大した時間やなかったんやろ？」
「5分くらいやな。」
「...あの、いったい何があったんですか、佐野くんに。」
「とりあえず、社務所で話そ？」
そう促され、社務所に戻れば、
こじけん君と大晴くんに抱えられた佐野くんは、いつの間にか、社務所の和室にひかれた布団で、すやすやと眠っていた。
「晶哉はさ、憑かれやすいんよな。」
まっさんが難しい顔で呟く。
「憑かれやすい....？」
「俺が説明する。」
そう言って私の方を見たリチャくん。
「人間っちゅーんはさ、お母さんから生まれてくるやん。大体は愛されて。」
「はい。」
「生まれて、大人に成長する過程で、人間はたくさんの愛情をもらうと、それだけ人間界との繋がりが強くなるねん。」
「人間界との繋がりが強い人間には、大体の妖怪は手出しすらできん。ああ、Aちゃんみたいな遺伝の力はまたちょっと違うんやけどな？後は、まあ俺らも妖の血が入ってるから、違うんやけど。
晶哉は、人間界との繋がりが薄いんよ。」
「えっ、それって....。」
「晶哉の家ってさ、この辺の土地開発してる建設会社なんよなぁ。」
大晴くんが佐野くんの顔を見つめながら言う。
「でも、晶哉の母親は、晶哉の父親の浮気相手やった。
んで、晶哉はその母親にも捨てられた。
でもさ、人間って強欲やねん。その建設会社、跡取りがいないんやって。だから父親は、後を継がせるためだけに、晶哉を引き取った。愛してなんかいないのに。
せやから、晶哉は、誰にも味方がいない、愛されていないから。
だから、鬼に憑かれやすい。」
そこまで、一気に喋った大晴くんは深く息を吐いた
「ほんまの鬼は、人間かも知れんな。」
私もそう思う。
人間はきっと彼ら妖怪と比べたら、醜くて。強欲で。脆くて。
それが時に鬼を作り出してしまうのかも知れない。
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ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです！続きが気になります！最後まで読んでみたいです！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます！無理ない程度に更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます！ (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます！こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです！！続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます！！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2020年2月4日 23時
