十一 ページ11
「あれ、Aさんや。」
「あ、佐野くん。」
あれから、誠也さんに買い物に一緒に行かないかと誘ったけど、面倒だと断られてしまった。
なんでも、神社の敷地内から出るには、体力を使うらしい。
誠也さんみたいな純血の鬼は、本来異界で暮らすのが当然なので、あまり人間界には適してないらしい。
漫画のような、世界を理解するにはまだ時間がかかりそうだけど。
少なくとも、昨日の夜ほどの絶望感は感じなくなっていた。
スーパーで、適当に飲み物や、食べ物を買って、帰り道。
制服姿の佐野くんとばったり遭遇した。
「佐野くん、学校じゃないの？」
「サボりでーす。あ、持ちますね、これ。」
買い物袋を取り上げられ、神社への道を二人で歩く。
サボりはまあ良くないけど、言える立場じゃないし。
ちょっと聞いてみたいこともあった。
「ねえ、佐野くん。そのさ、お仲間の中で、佐野くんだけなんでしょ？人間なのって。」
「あー、そうですね。まあ、正門くんは、おばあちゃんが妖狐ってだけで、生まれたのも育ったのも人間界やから、ほぼ人間みたいなもんやけど。自分は、両親共に普通の人間ですから。」
「でも、佐野くんにも誠也さんは視えるの？」
そう聞くと、佐野くんは笑って、話した。
「自分、特殊体質なんで。」
「特殊体質？」
「小さい頃から、なんか色々と視える体質っていうか。まあ、得したことは一切ないんやけど。」
「霊感が強いってこと？」
「まあ、そうです。Aさんも、そういう人かと思ってました。」
「そういう、自覚は無いなぁ。誠也さんは、はっきり視えるけど。」
「まあ、Aさんの場合、血筋とかもあるやろうけど。自分の場合は、ほんまに謎です笑」
明るく話す、佐野くんだけど。
きっと、大変なことも多いと思う。
「神社の中やと、悪いものとかに会う事が無いんで。だから、神社に入り浸ってますけど。
迷惑やったら、言ってくださいね。」
「迷惑なんて、思わないよ。」
そう返したら、嬉しそうに笑った佐野くんに、私も嬉しくなる。
いつの間にか、みんなの事をもっと知りたくなって。
おじいちゃんの事も、もっと。
こんな理由で住むのは失礼かな。
でも、今は、抑えきれない好奇心だけが、私の頭を埋め尽くしていた。
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ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです！続きが気になります！最後まで読んでみたいです！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます！無理ない程度に更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます！ (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます！こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです！！続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます！！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2020年2月4日 23時
