十四 ページ14
チリンチリンチリーン
鈴の音色自体は、不快感を覚えるものでは無い。
でも
緊張が走った誠也さんとリチャード君の表情に、自分の体も強張るのがわかる
「Aちゃん、こっち」
リチャード君に手を引かれて、奥の部屋に連れてかれる。
一体全体何が起こってるのか全くわからない
が
嗅いだことのない獣臭い臭いと、窓の外に舞い上がる砂埃。
ただごとではないのはわかった
「あの、一体何が！」
「Aちゃん、大丈夫やから。ちょっとここで隠れてようか」
リチャードさんの大きな胸に抱きかかえられ、反射的に頷く
ドアの陰から、リビングの窓を通して外が見えた
「ひっ.....」
思わず声が漏れる
自分の目に映っているのは果たして現実か、悪夢か
日本刀らしきものを手にしている誠也さんと対峙しているのは
体長が5mはあろう大男。その顔面にはぎょろっとした一つ目と、口から出た舌は、紫色
ボサボサの赤髪が汚らしく垂れ下がっていた
「あ、あれ、な、なんなんですか。」
「山わろやな。」
「山わろ？？」
「まあ、妖怪の一種やな。凶暴化することは少ないし、普段は山の中におるから、こんな人里まで降りてこーへんのに。悪鬼に唆されたか....。」
冷静なリチャード君をよそに、私は完全にパニック状態だ
「ちょ、あんなのと戦って大丈夫なんですか！誠也さん一人で！」
「んー、まあ大丈夫やろ。誠也強いから」
ゴォオオオオオオオオオオ
ドオオオオオオオン
鳴り響いた轟音に思わず耳をふさぐ
「誠也さん！」
「あ、ちょっと！Aちゃん！」
リチャードさんの腕を振りほどいて、窓に駆け寄る
私、何にも知らなかった
何にも
でも、誠也さんは、優しかった。
他のみんなだって、こんな東京から来た何にも知らない奴らに優しく接してくれた
私にだって、何かできるはず
おじいちゃんを失ったこの街の、役に立ちたい。
「誠也さん！」
「Aちゃん、近寄ったら危ないよ。誠也は大丈夫やから。ほら、見てみ？」
「えっ...」
地面には
倒れ伏した山わろの上に金髪の髪をなびかせた誠也さんが
こっちを向いて笑っていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 704人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです！続きが気になります！最後まで読んでみたいです！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます！無理ない程度に更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます！ (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます！こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです！！続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます！！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雫 | 作成日時：2020年2月4日 23時
