聞こえますか、この声が。 (ページ8)

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ep.8 ページ8

大橋side

「なんで丈くんは来ないんですか？」

「っえ！？あ、えー、おん。なんか忙しいらしいわ。」

「へー...」

いや、絶対怪しまれてるわ。みっちー鋭い子やもん。

でもさー、丈くんのことやし、あんま俺はペラペラとは喋れんよね

俺からしたら、ほんまは、丈くんも一緒に行きたかった。

昔みたいに。

「ハァ....」

俺にできる事、なんもないんかな。

俺、丈くんの役に立ちたいんやけど。

「ねえ、大橋くん、まだ歩くんですか？右？」

「そこを右やで。」

暗い下水道の中を二人で歩く。

みっちーは新入りやから、わからんけど、俺の頭の中には、オオサカの下水道は完全に頭に入っとる。

そして、ここを曲がれば。

「これって....」

「みっちーは、来るの初めて？」

「はい...。」

「そっか。あんな、レジスタンスって俺らだけちゃうねん。まあ、あんなに政府の本部に近いところに住んどるんは俺らだけやけど。

ここにはな、俺らみたいな奴らがいっぱいおる。そいつらにみっちー達を会わせたくてな。」

マンホールに続く梯子を上がって、マンホールの蓋を押し上げると空が見える。

立ち込める砂埃。

充満する鼻につく匂い。

痩せこけた野良犬

ボロボロの家

全部、懐かしい。

「和也、遅いで。」

「あ、すえざわ！！」

「お前も、あのチビ達の仲間か？」

「あ、はい。」

「みっちーって言うんやで。」

「ふーん。その感じやと、ここ来るんは初めてか。」

「は、はい。」

「そんな、固くならんでもええわ。収容所抜け出したんやろ？根性あるやつは歓迎すんで。

俺は、末澤誠也。ようこそ、スラム街へ。」