聞こえますか、この声が。 (ページ47)

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ep.47 ページ47

リチャside

「淳弥が最期に言ったこと、無視できんかった。」

淡々とした口調で今江はそう言った。

「何も....何もこの2年間、お前だけで抱え込んどく必要はなかったやんか...。」

今江と一番一緒にいたであろう、古謝が力なく呟く。

「俺のわがまま。ごめんなぁ。でもさ、でも、みんなにやって俺の気持ちはわかるやろ？」

誰も答えられへんかった。

「丈、なんで和也はここにはいないん？リチャ、末は？？そういう事やん。二人やって、和也と末に言いたくなかったんやろ。」

ああ、そうや。

俺は、資料を読んだ時に、末にこの事を知って欲しくなかった。

いや、このことだけじゃなくて、晶哉のことだって俺はきっと末には言えない。

まとくんを兄貴のように慕ってた、晶哉を弟のように可愛がってるあいつの顔が、悲しさで歪むのを見るのは耐えられんから。

丈も。きっと。

「じゃあ、その正門が持ってきた情報に書いてあった、佐野っていうやつの下で、まとくんは働いてるって事か。」

「普通に考えたら、そうなるよな。」

丈の鋭い視線が俺を突き刺す

「リチャ。俺は、この街のためなら晶哉を殺せる。」

ああ、わかってる。丈はこういう奴や。

仲間のためなら、嫌われたって、悪者になったって構わない。

そう思える奴。

「そうなる前に俺が止める」

それだけ答えると、俺はさっき机の上に投げ捨てた資料を、手に取って部屋を出た。

向かう場所は一つ

「あれ、リチャくん。どこ行ってたんですか？誠也くん探してましたよ」

ちょうど良く、アジトには晶哉しかいなかった。

ずっと疑問に思っていた事

「なあ、晶哉。お前は、俺たちの味方か？

それとも、敵か？」

晶哉の細い目が見開かれる

そら、驚くやろうな

俺は晶哉に銃口を向けているんやから。

「答えろや。返答によっちゃここで今お前を撃つ。」

緊迫した空気

、

「.........俺は、この街が好きです。みんなの事も。」

「俺の質問に答えろ。

晶哉。お前は誰の味方なんや。お前の意思を聴かせてくれ。」

半ば、懇願するように晶哉に俺が向けた質問に、晶哉は、

自嘲気味に笑った。

「僕の意思なんてものは、この世のどこにも存在してないんです。リチャくん。」