聞こえますか、この声が。 (ページ4)

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ep.4 ページ4

大西side

1日前

きっかけは丈くんの一言やった

「なあ、大吾。脱獄者やって。３人。あそこから。」

「久しぶりやねー、何時間持つんやろ。」

丈くんの言葉につまらなそうに反応した大ちゃんの表情はあからさまに興味のない感じやった。

それも、そのはず。

オオサカ第一収容所

オオサカに７つある収容所の中でも、一番最初にできた収容所で、主に未成年を収監している。

例えば他の収容所で生まれた子供や、国内で問題を起こした未成年。犯罪者の子供。

オオサカの政府は、そんな子供らを小さい時から強制収容所内で働かせ、洗脳する。

そして、そこを出所する頃にはあら不思議。

愛国心の強い兵隊の出来上がりっちゅー訳。

ある意味、７つの収容所の中では、唯一出所が可能って訳や。まあ、行く道は一つだけしかないんやけどね。

そして、第一収容所の最大の特徴。

それは、脱獄の難しさ。

他の６つの収容所は全て、オオサカ政府の中心、国会議事堂から推定30kmは離れたところに点在している。

だけど第一収容所は訳が違う。

国会議事堂の真下。

地下21階から地下30階までが、収容所になっている。

収容されてる子供達は、洗脳が終わるまで、空を見ることはない。

ここ20年の歴史の中で、第一収容所から脱獄し、今も塀の外で生きている人間は２人だけ。

それが、俺と大ちゃん。

あそこから、脱獄するなんて奇跡でも起きないと無理。

なんて思ってたんやけど。

「これは、またおもろくなってきたな。」

その日の夕方、丈くんの一言でまた状況は変わり始めた。

「この感じやと、完全に見失っとるで、政府のやつら。」

「朝言ってた脱獄者？」

「おん。なあ、大吾。これはひょっとしたら....」

「丈くん、はっすんってどこ行ったっけ？」

「店ちゃうん？」

「今すぐ、呼んできて。」

「りょーかい。」

大ちゃんの言葉にニヤリと笑った丈くんが駆け出す。

「なあ、大ちゃん、助けに行くん？」

「上手くいけば、仲間が増えるかもしれへんな。」

そう笑った大ちゃんは、久しぶりに何だか少し楽しそうやった。