聞こえますか、この声が。 (ページ28)

今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:137,995 hit

ep.28 ページ28

正門side

「あれ、誠也くん、晶哉まだ寝てたんすか？」

一人で戻ってきた誠也くんにそう聞いてみても、あーー、とかうーーんとか、歯切れの悪い返事が返ってくるだけ

「まあ、疲れが溜まってたんやと思うよ。ぐっすり寝てた。」

珍しいな。

病室では、ベッドの上の丈くんと、リチャくんが盛り上がってて、昔やってた漫才とかしてて、それに大地くんとかはっすんがケラケラ笑ってて。

でも、そんな輪の中に入らず、考え込む誠也くんに少し、少しだけやけど胸がザワッとした

「誠也くん....」

「ん？」

「あの、晶哉のことでなんか「おい、お前ら！」

聞こうとした質問は古謝くんの大声によって遮られる

「一応、怪我人なんだから、病室で騒ぐな。ていうか、人口密度高すぎやろ。」

「えーーーーーーー丈くんのそばがいい～！」

「大橋、あっち行け。」

文句を言いつつも、古謝くんには逆らえないとみんながゾロゾロ出て行く中、誠也くんだけ動かない。

「誠也くん...行きましょ？」

大晴が声をかけても、動かない誠也くん。

明らかにおかしい。何かを隠している。

「....俺、ちょっと丈と話してから行く。アジトで待ってて。」

「わかりました。大晴行くぞ。」

「....はい。」

・

・

・

アジトに戻ると、晶哉が、眠そうな顔でリビングにいた

俺らが帰ってきたのに気づくと、急に慌て出す

「あ、あのごめんなさい！俺、寝過ごして。」

「別に、大丈夫やで。休めたか？」

そう言ってやったら、ホッとする顔は年相応で。

別に、普通に見えるけどな。

「丈くんって人に会う機会逃しちゃいました。」

「別に、いつでも会いに行けるよー。丈くん、めっちゃ良い人やで？」

「....みたいですね。」

一瞬の違和感

晶哉が一瞬見せた凄く寂しそうな顔

「なあ、晶哉「あーーリチャくん、小島ー！おかえりなさい！」

大晴の大声に遮られた、問いかけ。

いつもみたいに、小島に絡みに行く晶哉は、いつも通りの笑顔で笑ってた。

だから、気づけへんかった。