聞こえますか、この声が。 (ページ18)

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ep.18 ページ18

リチャside

正門からの報告に、血相を変えて部屋を飛び出して行った末を、俺は止めんかった。

あいつが、泣きそうな顔してたから？

いや、ちゃうな。

きっと俺の足も震えてたから。

2年前、自分を責めてこの街を出てった丈を俺は止められんかった。

いや、突き放した。

この街で起きたことを全部忘れて、あいつがこの国のどっかで幸せに暮らしてくれるんやったらその方が絶対良いって。

そう思ってたんやけど。

やっぱり、俺は間違ってたな。

あの時丈を何をしてでも、引き留めておくべきやった。

そしたら、こんな事起きんかったかもしれないのに。

「リチャくんも行きましょうよ。」

「いや、俺はええわ。合わせる顔がないし。正門、大吾のとこに行ってきいや」

それでも、正門は動かない。

俺の前にじっと立ったまま。

「リチャくんが行かないんやったら俺も行かないです。」

「はあ？何、アホなこと言ってんねん。こんな事起きて大吾やって動揺してるんやから、行ってあげろや。」

「でも、俺、リチャくんの方が大事なんで。」

は？

いや、大真面目な顔でこいつは何を言ってんねん。

ドアの後ろでは晶哉と小島と大晴が様子を伺っているのがわかる。

いや、どいつもこいつもほんまに...。

「怪我の様子はどうなん。」

「銃弾が２つ体の中で止まってて、でも摘出できたみたいですよ。後は目を覚ますだけみたいです。」

「丈は、２発撃たれたくらいじゃ死なんわ。敵が誰かは知らんが、アホやな。」

そう言いながらも緩みそうな口元を、必死に堪える。

こいつらにバレたら絶対バカにされるし。

それにしても。

何かが引っかかる。

丈は、自分一人くらいの身なら簡単に守れる。

よっぽど手練れか、それとも.......。

向けられた刃が首筋に当てられてるような嫌な予感に胸がざわつく。

でも

目の前で笑ってる４人を見たら

怖がってもいられん

今度こそ、守るんやから。

この手で。

もう誰も失わん。

あの日、そう誓ったんやから。