【em】茶色の裏表紙はまだ【合作企画】 (ページ38)

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「え…？」

私は少しの間迷ったが、勇気を出してその言葉を口にした。あわよくば私の気持ちに気がついてほしい、そんな願いを込めながら。
エーミールさんの食器を拭く手がピタリと止まった。再び二人きりの喫茶店に沈黙が訪れる。恥ずかしさのあまりエーミールさんから逸らしていた目線を元に戻せば、彼は少し困惑したような表情をしていた。
…やっぱり、迷惑だったかな。私は今更になって自分の気持ちを打ち明けた後の展開を恐れてしまい、取り繕うように話を続け出した。

「ほら、コーヒーのいい香りとか、店内の雰囲気とか、美味しいメニューとか…！」
「そ、そっか。そうですよね。色々こだわってこの喫茶店やってるのでそう言ってもらえて嬉しいです」

心の中でホッと胸を撫で下ろし、残りのココアを一気に飲み干す。どうやら上手く誤魔化せたみたいだ。

「ご馳走様でした。それじゃあ、私はそろそろお先に失礼します。お疲れ様です…！」
「お疲れ様です。気をつけて帰ってくださいね」

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