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そんなことがあった数日後。
em｢A先生。ちょっと来て貰えますか｣
｢はい？｣
こそっと呼ばれて彼の後についていく。向かう先は校長室……ではなく屋上。夕焼けが綺麗。
｢わ……夕焼け綺麗ですね｣
em｢でしょう？つい最近見つけまして、Aさんにお見せしたかったんです｣
満足そうに笑うエーミールさん。色素薄めの髪が夕焼けに反射して目が離せなくなる。どうしてこの人はこんなにも綺麗なんだろうか。
｢これを見せるために……？｣
em｢いえ。違います。今日は貴女が欲しがっていたものを渡す為にお呼びしました｣
｢欲しがってたもの……｣
すっと腕を掴まれて、かちゃりと何かを付けられる。そこには彼のモノクルと似たような腕輪がはめられていた。
em｢お揃いのものと仰っていたでしょう？｣
｢これは…お揃いなのでしょうか……｣
em｢だ、だってAさんは片眼鏡は付けないでしょう！？｣
｢ふふ、そうですね。嬉しいですよ｣
彼の慌てぶりに頬が緩む。想像していたものとは違えど、いつも付けているものを象ったお揃いは嬉しい。
｢大切にします｣
em｢よかった……ええ、ずっと付けていてください｣
｢はい！片時も外しませんから！｣
にっこりほほえんで、彼に強く抱きつく。ふわりと香る香水の匂いは、私を幸せな気持ちで満たしてくれた。
その時の私は知らない。
この腕輪にはGPSがついていたことを。
エーミールさんが恍惚の表情を浮かべていたことを。
今後、彼から離れることはできないことを。
em｢"一生"貴女を大切にします｣
そして……この言葉に隠された彼の本心を知る頃には、私は彼に溺れきっていることを。
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