優しさに溺れて【科学はすべてを解決する】 ページ16
※ちょっと不穏？
エーミール校長は優しい。みんなの前では何もしてくれないが、2人っきりの時に私のお願いを断ったことは1度もない。困った顔をしながら、私の願いを聞き入れてくれるのだ。
「校長！校長となにかお揃いのものがほしいです！」
em「それは…A先生と私の関係が生徒にもバレてしまいますから…」
「そうですが、でも……」
em「……わかりました。少し考えてみますね」
無茶なお願いでもこうして受け入れてくれる。嬉しい、でもそれ以上にちゃんと「No」を言って欲しい。愛想を尽かされてしまうんじゃないか、なんて無駄な心配をしてしまう。
「また、やってしまった…」
zm「なにをそんなに悩んどるん？」
「ゾムさん……」
校長室を出て、授業の準備をしながら頭を抱えていると、隣にはゾムさんがいて。彼になら話しても大丈夫だろう、と経緯を話した。
zm「…なるほど」
「ゾムさんは校長と仲良いじゃないですか。校長からなにか私のこと聞いたりしてません？」
zm「まあ、しとるで」
間を開けずに返事がくる。思い返す必要が無いくらいに話しているのだろう。印象に残るってことは、きっと良くない話なんだとグルグルと頭の中で悪い思考が回る。
zm「なんか勘違いしとるみたいだけど、悪いことじゃないで」
「へ……？」
zm「そんな心配せんで平気だと思うけど」
それだけ言い残してゾムさんは立ち去る。彼の言葉を信じるのなら、エーミールさんは私のワガママに疲弊している訳では無いようで。それならどんなことを話しているのだろうか。
｢こっそり聞けないかな……｣
歩いていった方向的に校長室に向かったはず。でも、鋭いゾムさんとエーミールさんには気が付かれてしまうだろう。グッと堪えて、職員室に戻ることにした。
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