swan (ページ10)

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「…い、起、ろ、テティス、おい…起きろ」

「ぁっ………はぁ…っ…」

トリック「大丈夫か？テティス、軽く魘されてたぞ。」

目を開けると私の顔を覗き込むトリック。

何故か私の息は荒かった。

「トリック…さん…」

トリック「トリックでいいって言ったろう？…バルボッサ船長が集合をかけた。立てるか？」

船長が集合をかけているのならば直ぐに行かなければと、

床に足をついて立ち上がる。

「わっ…」

立ち上がったはいいものの、ふらっと来た目眩でバランスを崩してしまった。

トリック「おぉっと、大丈夫か？」

トリックは私をさっと優しく支えてくれる。

「ありがとう、…」

トリック「体調が悪いなら寝てていい。伝えにくる。」

「いいえ、…行くわ」

足に力を入れてしっかりと立ち上がる。

そうか、なら、着いてこい。

そう言うトリックの後を追うように部屋を出た。

甲板に着いた私達が最後だからか、バルボッサ船長は話し始めた。

バルボッサ「1週間後の朝にはこの港を出発する。その為に準備をすること。いいな！？」

「アイアイ、キャプテン！！」

バルボッサ「これから探すお宝は出発の時に教えるとしよう。」

続けてバルボッサ船長は解散だ！と締めくくる。

船員たちはそれぞれのことをし始めた。

トリック「おい、テティス、フラフラじゃねぇか。部屋まで送るから着いたら休んどけよ？」

「あ、りがとう、トリック。」

部屋までは気まずいくらいに無言で奥の部屋まで歩いていった。

あの夢が、なんなのか。

あの人は誰なのか。

どの船なのか。

何処なのか。

分かるのは、一際目立ち、輝くカシオペア座だけ。

トリック「…い、おい、テティス、おい…」

「！…あ、着いた…あ、ありがとう、トリック。」

トリック「いや、いいんだ、…ゆっくり休めよ？…じゃあな？」

そう残して、トリックは私に背を向けて歩き出した。

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