２０話・普通に笑って過ごす ページ20
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響き渡った怒声にAは唖然と東方を見つめていた。
ほっとけない。助けを求めろ。その二言を噛み砕くようにポツリと呟いて繰り返した。そんな彼女の姿に東方は吊り上がっていた眉を下げて困ったような顔をした。
「…あんたのそんな顔。初めて見た」
「え？」
「泣かせるつもりなんてなかった。だから…そんな顔しないでくれ」
不意に伸びてきた大きな手が頬に触れた。そして、拭うように撫でる彼の手は濡れている。声を出そうとしたら喉の奥が震えて嗚咽が混じった声しか出てない。
すると、頬に添えられた手が背中に回されてゆっくりと抱き締められた。ポンポンと一定のリズムで背中を優しく叩く。そんな彼の行動にAは疑問で頭が埋め尽くされていた。
「…ッ…なんで…私は人殺しの娘だよ…ッ…そんな奴に関わる意味を本当に分かってるのッ…」
「分かってる」
「あなたにとって何もいいことなんてないんだよッ！見返りなんて求めても無意味だから」
「そんなこと最初から求めてないっすよ。ただ、助けたい。それが本心っていつになったら気付いてくれるんすか」
「あなたにとって私はただの知り合い…少し前に出会って生意気な先輩程度なのに！！なのにどうして！？」
今まで関わった人たちは皆、事情を知れば救う選択などしなかった。関わることすら億劫だと目を背けた。ただ、それを責めるつもりはなかった。私が逆の立場であれば、面倒には巻き込まれたくないと同じ行動を取るだろうから。
だから、わざわざ面倒ごとに突っ込もうとする東方の行動が理解できない。大して彼に対して私は何もしていないどころか嫌な態度をとってきた。それなのに…
東方は笑っていた。口癖のようになりつつある「馬鹿っすね」と言って。
「あんたは生意気な先輩でもなんでもない。そうやって演じて突き放してたってとっくにバレてるんすよ。それに俺は人として恥じない生き方をしたい。あんたは救われるべき人間だって分かっている今、見捨てるなんて選択肢あるわけないだろ」
抱き締める腕が離れて東方とAは向き合った。泣いた顔、笑った顔。相反した二人の表情が交差する。
「根本的にはあんたを救う理由は変わっちゃいない。全て自分のためでもある。だが、死なれちゃ胸糞悪いとかそういったことじゃない。ただ…あんたを救いたい。救ってさ、本来の姿を見てみたい。普通に笑って過ごすあんたの学校生活で俺はもう一度…Aと知り合ってみたい」
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
